タイヤのCO2排出量を大幅削減
旭化成、廃プラ由来ブタジエン投入しサステナブルS-SBR生産へ
原材料 2021-11-29
旭化成は11月23日、Shell Eastern Petroleum (本社:シンガポール)と、廃プラスチックおよびバイオマス由来のブタジエン(サステナブルブタジエン)の購入に関する売買契約を締結した。
2022年3月末までにシンガポールにある同社の合成ゴムプラントにサステナブルブタジエンを投入し、同時に、これらを原材料としたサステナブルS-SBR(溶液重合法スチレンブタジエンゴム)の生産およびマーケティングを開始する予定。
契約調印式は、同日シンガポール・ブコム島で“Journey from Vision to Reality”と題し開催されたサーキュラーエコノミーに関するイベント「Creating the Plastic Circular Economy in Singapore」で行なわれた。
今回の廃プラスチック由来のブタジエンを使用するS-SBRの生産は世界でも初めて。また、バイオマス由来のブタジエンを使用するS-SBRの生産は、日本企業初の試みとなる(同社調べ)。
原材料、生産、使用(運転、廃棄・リサイクルというタイヤのライフサイクルにおいて、今後EV化の進展により、使用時のCO2排出は大幅にしていくため、S-SBRなどタイヤの原材料由来のCO2排出量割合が増加していくと予測されている。今回のサステナブルS-SBRを用いることで、従来のS-SBRを用いたタイヤに比べ同サイクルにおけるCO2排出量の大幅に削減が期待出来る。
今後同社では、バイオマス由来原材料およびリサイクル原材料に関する国際的な認証の取得を目指し準備を進めていく。また、社会のカーボンニュートラルに向け、S-SBRの製品性能向上と、製品ライフサイクル視点からのCO2削減の両面から、引き続き貢献していく方針。
S-SBRは、主に省燃費型高性能タイヤ(エコタイヤ)に用いられる合成ゴム。近年、環境規制の強化や環境意識の高まりを背景に、世界的にエコタイヤの需要が拡大しており、S-SBRは、タイヤの安全性能を確保しつつ、省燃費性能を同時に向上させるエコタイヤに最適な材料として認められている。
昨今、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、自動車業界ではEV(電気自動車)化、タイヤ業界ではタイヤのさらなる省燃費・耐摩耗性能向上などといった脱炭素社会を目指す取り組みが加速している。そのため、エコタイヤの材料であるS-SBRに対しても、さらなるサステナブル対応のニーズが高まっている。
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