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2020年3月期業績

JSR、エラストマー事業部門は営業赤字

原材料 2020-04-28

 JSRが4月27日に発表した2020年3月期業績(IFRS)は、売上収益が4,719億6,700万円で前期比4.7%減、営業利益が328億8,400万円で同27.3%減、純利益が226億400万円で同27.4%減だった。

 エラストマー事業部門は売上収益が1,787億9,400万円で同10.9%減、営業損失が17億5,800万円(前年同期は74億2,100万円の利益)、販売数量が61万1,552トンで同6%減。販売数量は、溶液重合スチレンブタジエンゴム(SSBR)が同4%増だったものの、需要先である自動車、タイヤの生産が世界的に低調で前期を下回った。また営業損失は、販売価格下落などによる売上収益の減少に加え、売買スプレッドの低下、固定資産の減損処理等が響いた。特に第4四半期(1-3月)は27億円の損失だった。

 2021年3月期業績予想は売上収益が4,230億円で前期比10.4%減、営業利益が230億円で同30.1%減、純利益が150億円で同33.6%減。新型コロナウイルスの影響は、足元の需要見通しや各事業の販売減少リスクを織り込み、売上収益で500億円の減少とした。

 エラストマー事業部門は売上収益が1,450億円で同19%減、営業損失が50億円(前期は17億5,800万円の損失)を見込む。「自動車の需要減少や需要先の稼働減」(宮崎秀樹取締役常務執行役員)といった新型コロナウイルスの影響により、当初の売上収益予想に対し上期で20%、下期で10%減少すると予想した。

 ハンガリーで立ち上げ中の SSBR新プラントも新型コロナウイルスの影響を受ける。一時的な操業停止を余儀なくされており、本格的な商業運転は10月にずれ込む見込みだ。

 
 中計発表も中止
 当初5月に発表予定だった新中期経営計画は、発表を中止する。新型コロナウイルスや原油市場の激変のリスクを考慮し、短期的な危機対応を優先する。危機対応が終了した後に公表する。

 一方、今後の経営の基本的な考え方については、4月27日に開かれた決算説明会で明らかにした。事業環境の変化に対応できる強靭な事業構造、経営体制の強化を行うとともに、半導体材料およびライフサイエンス事業を事業ポートフォリオの中核とする考えだ。これら2事業の成長により、全体の利益成長を図っていく。

 エラストマー事業は製品構成の見直し、コスト低減など事業構造改革に着手し、投資は最低限のメンテナンスに留める。製品構成の具体的な見直しについては、今後発表していく。

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