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産学連携で商品化

日立造船のトチュウエラストマー、キャスコのゴルフボールに採用へ

原材料 2017-12-19

製品開発発表会に出席したキャスコの高橋芳彦社長、NEDO材料・ナノテクノロジー部吉木政行部長、日立造船の谷所敬会長兼社長、大阪大学大学院工学研究科・Hitz協働建久所中澤慶久所長、キャスコの開発・企画部藤原雅彦部長(左から)



「トチュウエラストマー」がゴルフボールの表皮カバー材として採用された「BIOSPIN(バイオスピン)」


 日立造船が展開するバイオトランスポリイソプレンの「トチュウエラストマー」がゴルフボールの表皮カバー材として実用化される。ゴルフ用品メーカーのキャスコが18年4月に発売するゴルフボール「BIOSPIN(バイオスピン)」に採用されるもので、トチュウエラストマーの特徴である耐衝撃性を生かし、さらにスピン性能を発揮する差別化商品だ。「オープン価格だが、店頭では半ダース6,000円(1個1,000円程度)と予想され市場ではハイエンド商品との位置づけとなるが、年間2万ダースの販売を予定している」(キャスコ)としている。

 日立造船では1986年から中国原産の落葉樹であるトチュウ(杜仲)を用いた商品開発を行ってきたが、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を受けながら、大阪大学との産学連携を活用し、非可食性バイオマスである杜仲が作り出す高分子化合物のバイオトランスポリイソプレンのトチュウエラストマーを新しい機能性材料として、その用途展開を図ってきていた。

 今回キャスコの新商品開発のニーズに、トチュウエラストマーが持つ優れた耐衝撃性と引張強度であるシーズがマッチングし、採用されたもので、スポーツ用品として市場に出るのは初めてとなる。

 トチュウエラストマーは杜仲の種が原料となる。日立造船では中国に杜仲の農園を持ち、種から抽出した成分を舞鶴工場で精製しトチュウエラストマーを生産、安定供給体制をとっている。

 一方、キャスコでは、ゴルフボールの新商品開発において、現在ゴルフボール表面のカバー材にポリウレタン製が主流を占める中で、新たに①高いスピン性能②高い耐久性③ソフトフィーリング―を実現する材料を検討していた。

 今後、日立造船では耐衝撃性や高強靱性に優れたトチュウエラストマーが、これらスポーツ分野のほか、自動車等の輸送機器の内装や生体材料分野など、さまざまな分野への応用を期待している。

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