日本市場でコンベヤベルトビジネスを本格展開
【インタビュー】コンチテック・インダストリアル・ソリューションズ・ジャパン(コンチテック インダストリアル ソリューションズ APAC最高責任者ハーネス・フリードリヒセン氏)
インタビュー 2025-04-22
コンチテック・インダストリアル・ソリューションズ・ジャパンは、日本市場でコンベヤベルトの販売展開を本格的にスタートする。販売代理店との協力関係を強化し、販売ネットワークの構築を進め販売拡大をはかる。品質、信頼性、サービスで日本のユーザーに独自のソリューションを提供していく。

コンチテック インダストリアル ソリューションズ APAC最高責任者 ハーネス・フリードリヒセン氏
販売代理店との連携を強化し販売ネットワークの構築をはかる
■コンチネンタルとコンチテックの会社概要
コンチネンタルは、人とモノの持続可能なモビリティのための先駆的な技術とサービスを開発している。車両、機械、交通、輸送のための安全で効率的、インテリジェントかつ手頃なソリューションを提供している。当社は1871年に設立され、現在55カ国で事業展開し、従業員は約19万人、2024年度の売上高は3,500億ユーロ(約6兆円)。
コンチテックは、コンチネンタルの産業部門で、マルチマテリアル、環境に優しく、安全で便利な産業サービスソリューションの開発、生産、販売を行っている。40カ国以上、約100拠点に約3万9,000人の従業員を擁している(2024年12月時点)。
コンチテックの製品は、ゴム製品メーカーとしてのルーツをはるかに超えて、オフロード、地下、地上、産業環境、食品および家具産業で使用されている。当社の材料に関する専門知識は、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性樹脂(PU、PVC、TPEなど)、金属、繊維、ナノ材料、電子部品にまで及んでいる。
私たちは、材料に関する知見、ノウハウが豊富で、オーダーメイドの革新的な産業機器を開発でき、顧客に対しても、高い透明性と信頼性を持つパートナーとして密接に協力していきたいと思っている。
■コンチテックの2024年度業績と2025年度業績計画
コンチテックの2024年度売上高は約64億ユーロ(約1兆240億円)だった。2024年度は、厳しい市場環境と高コスト圧力により厳しい年となったが、コンチテックは財務の安定性を確保し、調整後EBITマージン6.2%を達成し、全体として良好なキャッシュフロー貢献を果たした。厳しい市場環境は2025年も続くと予想している。
2025年も、鉱業、オフハイウェイ、農業、商用車、建設、住宅などの産業向けに、顧客に合わせたソリューションを提供していく。製品を供給するだけでなく、プラントの設計、生産、据付から予防保全、修理・補修に至るまで、顧客ごとの個別ニーズに対応し、可能な限り環境に配慮した方法で、総合的かつ効率的なソリューションを提供することを目指している。
■日本での事業展開の概要
当社のコンベヤベルトは、マテリアルハンドリング、トンネル工事、建設、鉱業などの業界に事業展開している。油圧ホースは重機・建設機械や産業機械などの油圧関連機器分野で、信頼性ある高機能製品として評価されている。

粉塵の飛散を防ぎ環境改善に寄与するパイプコンベヤベルト

コンチテックのコンベヤベルトは搬送時の消費電力やCO2排出量削減にも貢献する

最新鋭のホース加締機
日本では、パイプコンベヤベルト、スチールコンベヤベルト、帆布コンベヤベルトが、鉱業や製鉄所、製油所、発電所などで高く評価され始めている。一方、空気ばねは、建機・鉱山・産業用車両や鉄道車両で使用され、油圧ホースは建機・鉱山・産業用車両や一般産業用途で多く使用されている。
■コンチテック日本法人のここ数年の業績状況
日本はコンチテックにとって成長市場であり、搬送ソリューションと流体ハンドリングソリューションの分野で大きな可能性を秘めている。コンチテック日本法人は一貫して高い業績を上げている。
「品質、信頼性、サービスで日本のユーザーに最良のソリューションを提供する」
■日本市場での販売戦略・営業戦略
日本市場において、当社の認知度はまだ高くはないが、日本の顧客のニーズを満たすために、在庫を多く取り揃えサービスレベルを向上させることで認知度を高めていきたい。
素材重視のソリューションと革新的な製品に強くフォーカスすることで、日本のユーザーが私たちと意欲的に関わりたいと思っていただけると確信している。150年以上にわたる技術的ノウハウを持つ当社は、品質、信頼性、サービスという面で、日本のユーザーに独自のソリューションを提供できると確信している。
競争の激しい日本市場において、知名度を向上させるため、市場におけるブランドイメージを重視している。そのためにも、顧客との密接かつ頻繁なコミュニケーションにより、当社に対する理解を深めていただきたいと考えている。加えて我々はOEMユーザーへの直販だけではなく、販売代理店経由の販売にも力も入れる。当社販売代理店である中川ゴム工業所(本社・福岡県)をはじめ、日本市場で経験豊富な販売店と手を組んで、WIN-WINな関係を構築していきたい。
研究開発、生産、販売を含め、日本国内に12拠点を構える
■日本市場で注力していく事業・製品とその概要・特色
コンチネンタルは1871年の創業以来、150年以上にわたって革新的な技術を開発してきた。2000年に日清紡と日本事業を開始し、以来25年にわたり日本の顧客に革新的な技術と製品を提供してきた。
現在、コンチネンタルは、自動車だけでなく、ゴムグループのコンチテック、タイヤの研究開発、生産、販売拠点を含め、日本に12拠点を構えている。
コンチネンタルは、鉄道、オフハイウェイ、商用車、資材運搬、エネルギー管理、建設、その他の産業ソリューションなど、日本の様々な産業のニーズに合わせた顧客中心のソリューションを最優先している。
自社の技術、製品、サービスに基づき、日本特有の市場環境と条件を考慮した最良のソリューションを提供するために、日本の顧客の要望を常に考慮していく。
最新技術を採り入れたさまざまなコンベヤベルトを市場展開
■自社の強み・特色・魅力は
コンチテックは、多くの産業界にゴムや熱可塑性樹脂部品を供給する最大手のサプライヤーだ。私たちの目標は、品質、革新性、顧客満足度において業界のリーダーとなること。
当社は事業をグローバル展開しており、ホース、コンベヤベルト、伝動ベルトから空気ばねまで、幅広い製品を世界中に提供している。
我々の持つ多様な素材・多様な部品を組み合わせて提供するサービスは、私たちの素材と技術に関する専門知識に基づいて、高性能でユニークな製品や技術を提供できる。
これにより当社は、様々な業界の要望に応えている。これらの要望を深く理解し、それをレシピ、設計、製造工程に反映させることに日々情熱を持って取り組んでいる。
当社の強みのひとつは、顧客の声に耳を傾け、具体的なニーズや問題点を理解し、相互の価値を生み出すソリューションを提供できることだ。信頼と透明性、協力体制は、当社の長期的なパートナーシップの基盤である。150年以上にわたる経験から、私たちは革新的な製品を開発・導入し、顧客の目標達成を支援する専門知識を持っている。
当社では搬送用途において、様々な産業や用途の最も過酷でタフな環境に対応する効率的で耐久性のある製品を提供している。
コンベヤシステムのエキスパートとして、サービス、エンジニアリング、リサイクル、デジタルコンベヤモニタリングを組み合わせ、バリューチェーン全体にわたって事業を展開している。
当社のコンベヤベルトは、単に材料を大量に輸送するだけではなく、CO2排出量を削減し、エネルギー消費量を削減することで、非常に効率的な輸送を実現する。私たちのベルトは耐摩耗性に優れ、省メンテナンス、省エネを実現しており、長期的に顧客の経費削減に寄与することができる。
当社のベルトは、転がり抵抗を最小化する特殊ゴムコンパウンドを使用しており、これにより搬送物のエネルギー消費量を30%削減することができ、CO2排出量も大幅に削減できる。1時間当たり3万トンの搬送能力を持つ5,000メートルのコンベヤベルトでは、年間8,900トンのCO2を削減することができ、エネルギー削減量は一般家庭6.500世帯の年間消費量に相当する。
また、何トンもの石炭、骨材、木材、鉱石などの過酷な搬送にも耐えられるよう設計されている。150年以上にわたり、当社の原材料設計は世界中で最も過酷な用途でテストされてきた。
海外鉱山向けで開発した耐カット性の特殊ゴムも日本の石灰石鉱山への供給が決まるなど、当社の特殊ゴムに強い興味を持っていただいている顧客も多く、今後、日本市場へさらに展開していきたいと考えている。
当社では、自社で研究開発された最新技術を採り入れた、さまざまなタイプのコンベヤベルトを市場展開している。たとえば、当社の耐熱ベルトには、ガラス繊維を使用し最大538度の高温耐熱性を有する高性能なベルト芯体を採用している。また非付着タイプベルトは、搬送物の付着を防止し、生産性を向上させるとともに運転コストを削減することができる。
その他、ホース製品のラインアップも充実している。さまざまな産業において、効率性と持続可能性を高める製品を揃えている。たとえば、優れた耐摩耗性を有する高圧油圧ホースのほか、建設機械・鉱業、高性能産業機器などの電圧や屈曲の影響を受ける用途向けのホース、高温または低温の油圧・水圧工作機械、農業用車両、建設車両で使用される高温・低温対応ホースなどがある。これらはほんの一例で、水素充填用ホースのような水素を取り扱う製品や食品、飲料用ホースもある。

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