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来秋建設の新本社・工場、モノづくりの聖地に

【インタビュー】カツロン石川明一社長、押出成形でアイデア製品多数開発

工業用品 2017-07-25


 カツロンは樹脂押出成型品の専業メーカー。さまざまなアイデア商品を開発するユニークな会社としても知られている。多品種少量生産や、他社では対応できないような難しい注文も受け付けてくれるメーカーとして頼りにされている。同社の石川明一社長に業績状況や経営課題、同社の歴史などについてインタビューした。

 ■菓子メーカーとして創業
 当社は1949年6月、祖父石川丈夫が菓子製造の日之出食品として東大阪市下小阪(現本社所在地)に設立した。当初は合成甘味料サッカリンを使用したシガレットタイプのお菓子を製造し、甘いお菓子がまだ少なかった当時、大いに売れたという。

 その後、お菓子の売れ行きが落ちてきた時に、祖父が「これからはプラスチックの時代だ」と考え、お菓子を製造する押出機を改良し、1961年にビニールホース(散水ホース)の製造販売を始めた。当時大流行した「フラフープ」なども製造していたそうだ。そのほか公衆電話ボックスの窓枠、海上コンテナのパッキング、鉄道コンテナのパッキング、電車のドアパッキンなど、さまざまな軟質塩ビの異形押出製品を開発・販売し事業を拡大していった。

 ちなみに1961年には、熱可塑性エラストマーのサンプレーンを使用した高機能ホース「カツロンホース」を開発した。これは耐熱・耐寒性に優れ、その当時、日本で一番耐久性のあるホースとして好評を得た。このホースは現在でも販売している。1965年には、その後主力製品に成長した手すり用クッション「パイプクッション」の製造を開始した。1996年には、製品名でもある「カツロン」に社名を変更し、現在に至っている。

 ■生産拠点
 工場は大阪・八尾、奈良、栃木の3カ所にある。八尾工場は、多品種少量生産に対応し、金型製造、試作品の開発などを行うマザー工場という位置づけだ。奈良工場は量産工場。栃木工場は量産製品のほか、駐車場緑化製品「ターフパーキング」を製造している。これは3次元ハイブリッド製法という、射出成型と押出成型の長所を融合した新製法で製造している。

 栃木工場は、父・宏が社長当時、関東にも生産拠点が欲しいと考え、1998年に栃木県小山市に建設した。当時、私は別会社に勤め東京で働いていたが、父から相談され、栃木のあたりには土地勘もあったので、大宮に近くて便利な小山に工場を立てたらどうかと提案した。

 ■社長就任
 私は2008年6月に社長に就任したが、その年の9月にリーマン・ショックに見舞われた。08年5月期は過去最高の売上高を記録し、社長就任後も順調だったが、リーマン・ショックで売り上げが一気に落ち、09年5月期は売上高が2割減少した。単月では売上高が半減した月もあった。当時は生産拠点が5カ所だったが、本社の製造ラインを八尾工場に統合し4拠点に減らした。

 私は2001年に入社し、08年に社長に就任するまでずっと営業を担当し、新規開拓や仕事の幅を広げることに力を入れた。事業改善・生産の効率化にも取り組み営業利益率を10%まで高めた。こうして会社が順調になった時に、リーマン・ショクに襲われた。

 リーマン・ショックで仕事量が減ったので、試作品の開発に力を入れ、人手不足だった営業に人員を回した。仕事が順調で人手が不足していた時にはできなかったことに、リーマン・ショック後は積極的に取り組んだ。こうした取り組みが奏功し2、3年でリーマン前の業績水準に戻すことができた。

 ■開発力・高収益で評価
 当社は、顧客からの依頼に対しては「どんなことでも、とりあえずやってみよう」という風土を持っている。そうした点が評価され、他社が断ったことでもカツロンなら受けてくれるだろうと、さまざまな企業から相談を受ける。材料メーカーが新しい素材を開発した際にも「何かに用途開発はできないか」と、当社に相談に来ることもある。

 当社のこうした開発姿勢や、押出成型でユニークな製品を多数開発している点、高収益を上げていることなども評価され、2007年にはグッドカンパニー大賞特別賞を受賞した。また同年には「元気なモノ作り中小企業300社」にも選ばれている。

 ■17年5月期業績
 売上高が36億5000万円、営業利益が3億6000万円で、増収増益の見込み。売上高は微増、売上高営業利益率は10%を確保できる見込みだ。ターフパーキングの売り上げが前期比4割増加した。こうした自社製品が売れると利益もアップする。ターフパーキングは駐車場緑化の市場ではトップシェアを占めている。環境意識の高まりから、ここ2、3年で売り上げが顕著に伸びている。そのほかテープ状の押出製品がアパレル関連で好調。精密機械向け製品も伸びている。土木・建築関連も好調で、給水給湯パイプの販売が伸びている。点字タイル、保安マットなどの保安用品も好調だ。樹脂ベルト関連製品も伸びている。

 当社の需要先別売上高比率は、土木・建築・保安分野が5割強、自動車が約25%。この2分野で8割を占めている。そのほかアパレル、精密機械、雑貨などとなる。

 ■今期業績計画
 売上高は39億円の計画で、できれば40億円を達成したい。売上高営業利益率は今期も10%を目指している。今期は従来分野を維持しつつ、新しい分野でさらに需要開拓を進めていきたい。

 ■経営課題
 来年秋をめどに、本社と八尾工場を統合する。ものづくりの町と言われている東大阪でも、聖地として知られている高井田地区に4,100平米の土地を購入した。ここに新本社・工場を建設する。工場と本社が一体化することで、製品開発をより迅速に、効率的に進めていく。当社は2019年に創業70周年を迎えるが、この本社と八尾工場の統合は、次の100周年に向けた布石といえる。

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