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中期経営ビジョン「2020V」 現状は計画通り推移

【インタビュー】住友理工社長松井徹氏、グローバル化見据えた体質強化図る

工業用品 2017-07-24


 2020年度までの中期経営ビジョン「2020V」の最終年度に、売上高5,300億円、営業利益320億円を目指している住友理工。「為替など外部要因はあるものの、現状では計画通りに推移している。自動車用品、一般産業用品ともに拡大していく」と語る松井徹社長に話を聞いた。

 ■2020Vの進捗状況
 2020Vでは、最終年度である2020年度の売上高5,300億円、営業利益320億円を目指しており、現状では計画通りに推移している。

 最終年度の売上高は、自動車用品が4,300億円、一般産業用品が1,000億円を目指している。

 自動車用品は新規顧客開拓に加え、中国やインドといった新興国の規制にも対応した環境技術、製品により伸ばしていく考えだ。新規顧客開拓は、欧州と中国に期待している。特に中国における欧州メーカーへの拡販は重要になる。グローバル車種にいかに採用されるかだろう。

 中国のローカル自動車メーカーへの販売は環境がカギになる。中国ローカルメーカーの自動車は、以前は安価であることを求められるのが主流だったが、環境規制により当社に声の掛かる機会が増えてきた。より良い自動車を生産しなければならなくなった結果、当社にとっては活躍の場が増えてきたと感じている。

 海外の自動車メーカーに採用されるには、特徴ある製品とニーズに対応することだ。各自動車メーカーが感じているすき間を埋める製品を提案できるかだと考えている。

 一般産業用品は、エレクトロニクス、インフラ、住環境・健康介護で伸ばしていく。2020Vでは自動車用品、一般産業用品ともに伸ばしていくが、一般産業用品の方が20年度に向けてより高い伸び率を見込んでいる。

 営業利益は、前中計である2015Vの期間中に拡大したインドや東南アジア、南米などの海外生産拠点が、現状で大きく足を引っ張っている。そのため、これら拠点の収益化を図ることで、営業利益の結果はついてくると考えており、その見通しも立ってきた。

 2015Vの期間中に買収した独の防振ゴムメーカー「アンヴィス」は利益体質になってきた。伊のホースメーカー「ダイテックダイナミックフルードテクノロジーズ」の構造改革にはあと1、2年かかるだろうが、足元は市場が回復しており予想よりは良い状況となっている。

 2020Vでは、グローバル化を見据えた体質強化を目指している。2015Vまでの拡大基調は、結果として若干の無理があった。まずは体制を固め、体質強化を図っていきたい。

 ■電気自動車への対応
 今は自動車の発明以来の技術革新が来ていると言われている。当社にとってもエンジンがモーターに変わり、ガソリンがバッテリーに変わる中で、なくなっていく製品もある。一方で、その変化により新たなニーズも出てくる。静粛性や遮音、バッテリーの放熱などに向けて、新製品を開発していく。電気自動車に対しては、しっかりと腰を据えて対応していかなければならない。

 ■新興国の自動車部品メーカーとの差別化
 当社はこれまでも、運転する側のニーズ、市場のニーズを製品に反映し、自動車メーカーに提案してきた。提案型の開発だ。この手法の手綱を緩めてはならない。また市場のニーズをいかに的確に掴むかも重要になるだろう。提案もせず、ただ受けるだけの仕事をしていては、中国など価格の安いメーカーに負けてしまう。

 ■人材について
 働き方改革に真剣に取り組んでいる。4月から「活き生き5(いきいきファイブ)」と銘打った取り組みを始めており、毎週水曜日を「ノー残業デー」に設定して5時台の定時退社を促したり、一定時間の休息時間を確保する勤務間インターバル制度の導入を検討したりしている。残業時間についても改善してきたと思う。

 ダイバーシティにも取り組み、女性にとって働きやすい職場を目指している。ただ、女性にとって働きやすい職場は、男性にとっても働きやすくあるべきで、そのためにも働き方改革が重要になる。ダイバーシティといっても、女性ありきで考えると、不公平感が出てくる。公平な中で、社員にとって魅力ある会社にしていきたいと思う。

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