過酷な環境に適用し自動車向けに採用
朝日ラバー、CNT充填シリコーンゴム複合材料を共同開発
工業用品 2022-01-26
朝日ラバーは1月21日、GSIクレオス(東京都千代田区、吉永直明代表取締役)と、カップ積層型カーボンナノチューブ(CSCNT)を分散したシリコーンゴムを共同で開発し、高い導電性と最適硬度の両立を達成することに成功したと発表した。
同素材は長期間にわたる実証実験の結果、屋外の過酷な環境でも適用可能な自動車向け部材として採用され、今春から同関業界向けに納入が開始される。
今回の開発は、朝日ラバーとGSIクレオスが共同で、GSIクレオスの独自開発品であるカップ積層型カーボンナノチューブ(CSCNT)を、朝日ラバーのシリコーンゴムに最適に分散させることで導電性を付与させ、用途に応じた硬度のオーダーメイド化に成功したもの。
従来の導電フィラー(充填剤)では、シリコーンゴムとフィラー界面の影響で、十分な導電性が得られないだけでなく、過剰な硬化、固定してしまうなどの致命的な課題があった。
今回の開発品は、これらの課題を解決し、①体積低効率0.4~0.5Ωcmという従来導電添加剤では得られなかった低抵抗率領域を達成②硬度(DuroA)70~90の領域で、用途に応じた調整が可能③耐熱性に優れ、高温下でも体積変化率が少ない――といった特長を備えることに成功した。
従来シリコーンゴムは環境適応性能が高く、高結晶で強靭なカーボンナノチューブ(CNT)との親和性はよいとされていたが、CNTの難分散性により製品化が実現できていなかった。今回の開発成功により、氷点下から高温、多湿、乾燥など多様な過酷環境にさらされる自動車部材への適応が可能となった。
また、CSNTの充填により、シリコーンゴムの電気特性の向上だけでなく、硬度、柔軟性の最適調整を含む機械的特性、耐熱性、耐久性の向上、低比重(軽量)などが期待できる。それにより、シリコーンゴム部品の超寿命化をもたらし、地球環境への負荷を低減するとともに、柔軟性の最適化により高機能を保持したまま人体へ適用する場合の接触感の改善も可能になる。
朝日ラバーとGSIクレオスは、今後も同素材のマーケティングを共同で実施。サステナブルな社会の実現に貢献する導電ゴムとして、自動車や航空機等向けセンサーやケーブルのほか、IoT社会に適用が期待されるウェアラブルデバイスの電極パッドなどへの用途展開を進めていく。
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