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【新年トップインタビュー】

住友理工社長 松井徹氏、「中計2022Vに沿って設投・研究開発を推進」

会員限定 工業用品 2019-01-08


 「2019年の動向は、いまの段階では非常に不透明だと見ている。中期経営ビジョン『2022年 住友理工グループVision』(2022V)に沿った設備投資や研究開発を推進し、自動車のEV化などのCASE対応にもしっかり取り組んでいく。リスクもあればチャンスもあるということで、そのチャンスを捉えていきたいと思う」と住友理工の松井徹社長は抱負を語る。

 ■2018年を振り返って
 自動車関連で言うと、ひとつは米国のトランプ大統領の関税、保護主義政策の影響がかなり出てきたということがあげられる。もうひとつは当社の問題だが北米での生産の人手不足、なかなか人手が集まらないということから、当初予定していたような生産性が上がらず、業績が思った以上に落ち込んだことが残念だ。手を打ってはいるが、根深い問題であり、苦心をしている。

 業績面で見ると、売上高は比較的順調に推移しているものの予定していた利益が上がってこないような状況だ。それは上期の業績にも影響してきているし、下期の業績の中でも利益面は予想を引き下げざるを得ないということだ。

 一般産業用品については、市場で見れば引き続き中国での産業資材関連が非常に好調と言える。ただ、一方で、我々でいうところのエレクトロニクス分野のプリンター関連部品は若干、今年の後半になって下がりつつある。在庫調整等が入って影響が出てきていると聞いている。

 ■2019年の動向について
 いまの段階では非常に不透明であると見ている。米中貿易問題の予想がしにくい状況であり、更に欧州でも、欧州連合から英国が離脱する「ブレグジット」がなかなかうまくいっていない点や、フランスのデモなど、欧州の状況もどう影響が出てくるのか心配だ。東南アジアは総じて好調だ。

 一般産業用品部門については、当社の係わるインフラに関する事業は中国ではいまだ好調で落ち込んでいない。政府のテコ入れもあるように聞いており期待している状況だ。

 19年としては北米の問題を早急に立て直したい。それを全社的な課題としている。方策としては、現地でしっかり雇用を確保したいということ。ある程度雇用面で安定してくれば、徐々に生産性は上がってくる見通しだ。特に量産化が計画されているSUVの関係がひとつの鍵となる。

 人手に関しては期間従業員の定着率が上げられなかった。正社員率の比率を上げていくことで人員の安定化を図っていきたい。これらの影響で人件費に係わるコストも上がっていくが、むしろトランプ政権の保護貿易政策によって、鉄鋼やアルミの価格も保護され、米国内の素材関係は値上がりしてきている。2019年からはできるだけユーザーにも価格アップ分は負担していただけるようお願いしたい。

 ■2019年の懸念材料
 中国の自動車の販売動向が心配だ。18年も前年割れが予想され、19年にいたっても18年実績を割ると言われている。それでもまだ幸いなのは、我々の顧客となる日系の自動車メーカーは、中国の自動車生産が低迷する中でも比較的好調である点だ。

 欧州においては自動車関係でディーゼルの認証試験の方法が変わったことによって、製品動向は前半の9月までは好調だったが9月以降は落ち込んだ。車種の多い顧客の試験はどうしても時間がかかってしまっている。引き続き19年も見通しにくい状況だ。

 欧州において、EV化への転換はじっくりとだが、着実に進んでいることは間違いないと思う。しかし主体はまだディーゼルと言うのも事実。新しい開発はあまり無いが、現在の売上げに占める割合はまだまだ大きい。トヨタのハイブリッド車が伸びている現在の状況は好材料だと考えている。

リスクもチャンスとして捉えていきたい

 ■2019年の研究開発について
 18年の5月に発表した2022年度を最終年度とする中期経営ビジョン「2022年 住友理工グループVision」(2022V)に従って設備投資や研究開発を推進していきたい。そこに掲げているように自動車のEV化などのCASE対応などしっかりと取り組み、リスクもあればチャンスもあるということでそのチャンスを捉えていきたいと思う。

 また、「2022V」については始動して、まだ半年で1年目なので社内に対する周知と方針の徹底を図っている。各事業本部には方向付けを行ってもらっているというところだ。自動車関係は自動車新商品開発センターを中心に電動化や自動運転に向けての製品の検討や探索をしながら開発を進めている。電動化や電子化が進んでいくことについては、住友電工や住友電装と協力関係を密にして新しい製品について検討を進めている。

 ■国内の市場について
 国内市場については、最も心配なのは米国が自動車関税を掛けるかどうかにある。全体としては景気もそれなりに安定していると判断している。また一般産業用品としても産業用の建機や機械向けの製品は好調だ。ただ、プリンター向けの機能部品などはペーパーレス化の影響を受けており、横ばいから減少に向かっている。

 それに対して自動車の電子化や、TRCダンパーなどの住宅向けの製品、ヘルスケア製品類で伸ばしていきたい。

 ■経営方針として
 新事業・新規顧客創出を第一に掲げているが、新規顧客創出についてはこれから増えていく中国やインド、インドネシアなどといった新興国への取り組みを強化していく。中国においては中国ローカルの企業への取り組みも推進したい。

 二つ目のモノづくり革新については、技術革新やIoTなどを取り入れた製法の開発を進めるとともに、日本のモノづくり企業としてのベースである強い現場力を国内でしっかり作り上げ、それを国外へ展開したい。日本のようにそれぞれが自立しているような現場づくりはなかなか難しいが、グローバルにおいても顧客の期待に応えられる特徴ある企業としたい。グローバルの人材力の強化やネットワークを作っていこうと計画し実行しようとしているところだ。グローバルでのベストプラクティクスをスピード感を持って展開する。経営方針の中に公益価値への取り組みも明確に示し、これを意識した活動をやっている。ひとつは過去から引き続き実施している環境保全活動でCO2削減や廃棄物削減への取り組みの様子を発信したい。

 またグローバルな問題としては我々ゴム業界で不可欠な天然ゴム調達において農園の自然保護や労働環境なども含めた問題点にもしっかりと関心を持ちたい。仕入先、調達においてもSDGsに則った調達を謳っている。

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