【トップインタビュー】
イノアックコーポレーション井上聰一CEO、「何よりも開発力が重要だ 技術や人材に積極投資する」
工業用品 2018-03-26
ゴム・樹脂製品企業の中で、グローバル化の先鞭をつけたと言えるのがイノアックコーポレーションだ。同社の代表として、グローバル化を主導してきた、井上聰一代表取締役CEOに、海外市場の成長見通しや、今後の製品開発の方向性、人材育成に関して話を聞いた。
■海外市場の見通し
北米やメキシコが今後伸びると思う。米国はトランプ大統領が積極的な経済政策を推進しているので経済も上向くだろう。中国も伸びるが、今は調整期にある。東南アジアではベトナム、インドネシアの成長が期待できる。インドネシアはジャワだけでも1億人以上いる。これからさらに発展していくだろう。
インドは難しい市場だ。自動車ではスズキ自動車の成功例があるが、多民族・多宗教で、身分制度など古い習慣が今も残っている。英語が通じるという利点はあるが、いろいろとクリアしなければならない問題が多い。
中東では、過去にイランに工場進出していた。イラン革命で撤退したが、現地企業として残っており、稼働している。過去に実績があるため、現地から工場進出の要望はあるが、米国の経済制裁がある以上、現実的には困難だ。
トルコは親日的な国だが、政治体制が不安定なのが難点だ。ただEUに加盟していて欧州との結びつきが強い。今後伸びていく市場だと思う。
欧州では、生産はしていないが、技術的な交流はある。EU各国は、それぞれお国柄が違うので、ここも難しい市場といえる。欧州は米国に比べると、成長は緩やかだが、バイエルなどの有力企業も多く、開発力という点では、まだ見習うべきものがある。
■研究開発について
既存製品の開発・改良と新規開発との2方向がある。当社では、秦野の研究所が中長期的な新製品・新技術の開発を担い、既存製品の開発は各生産拠点で行っている。
研究開発については常々、「予算のことなど気にせずに、チャレンジ精神で取り組め」と言っているが、担当者は費用対効果を気にするのか、なかなか踏み出そうとしない。イノアックにとっては、何よりも開発力が重要だ。私がリスクを負うからもっとやれと言っている。技術や人材、能力にはどんどん投資していく。研究開発で失敗しても責任を問わない、というのが当社のモットーだ。新しい設備も入れているし、海外にもどんどん出ろと言っている。
国内に比べ、インドネシア、ベトナムなどアジアの若い人々は覇気があり意欲的だ。だから彼らを積極的に欧米に行かせ、勉強させている。
海外の従業員にも、同じイノアックグループであるという意識を持って欲しいと思っている。私は、海外拠点に行くと現地の若い人たちと食事をして、コミュニケーションをはかるようにしている。
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