特殊ゴムの出荷量落ち込む
日本ゼオン、エラストマーは減収減益
原材料 2020-01-30
日本ゼオンが1月30日に発表した2020年3月期第3四半期(4-12月)業績は、売上高が2,425億5,300万円で前年同期比4.7%減、営業利益が215億4,000万円で同20.3%減、経常利益が235億1,800万円で同19.7%減、純利益が166億6,800万円で同32.5%増だった。米中貿易摩擦に端を発した世界経済減速の影響を受け、売上高、営業利益、経常利益が減少。一方純利益は、減損損失等の特別損失が減少したことで、前年同期を上回った。
エラストマー素材事業部門は売上高が1,354億6,900万円で同9.2%減、営業利益が85億4,400万円で同40.7%減。営業利益は数量要因で31億円、価格要因で63億円の減益となるなど前年同期を58億円下回った。
合成ゴムは国内販売、輸出、海外子会社ともに世界経済減速の影響を受け自動車産業向けを含む一般工業品用途の需要が弱く、前年同期に比べ減収減益、売上高は97億円減少した。出荷量は、主にタイヤ用途の汎用ゴムが106(前年同期を100とした場合)、主に自動車産業用途の特殊ゴムが90(同)。汎用ゴムは、タイヤ向け需要が弱含みに推移したが、「アジアを中心に輸出ドライブをかけた」(松浦一慶取締役執行役員)ことで海外出荷が伸びた。また、溶液重合スチレンブタジエンゴム(SSBR)は、SSBR全体の需要にブレーキがかかった中でも販売量を2%伸ばした。
特殊ゴムは、世界的な需要減少と市況低迷が響いた。米国の状況は「自動車産業が低迷し、2019年後半からは農機も建機も落ちてきた。特殊ゴムを用いたゴム部品が使用されるシェールガスの油井も、2019年1月時点では1,100基近く稼働していたが、今は800基を割り込んでいる。今がボトムと思うが、状況は悪い。2020年も2019年の状況を引きずるとみている」(平川宏之取締役常務執行役員)という。一方、タイで建設を進めているアクリルゴムの新プラントは、計画通り5月に竣工する予定だ。
通期業績予想を修正
2020年3月期業績予想は、売上高3,200億円(従来予想3,300億円、増減率3.0%減)、営業利益250億円(同300億円、同16.7%減)、経常利益270億円(同320億円、同15.6%減)、純利益180億円(同220億円、同18.2%減)に修正した。米中間の通商問題や中国経済減速の影響に加え、新型コロナウイルスによる肺炎感染者の世界的な広がりによる影響の予想がつかないことなどが要因。同日決算説明を行った松浦取締役執行役員は、業績修正と第4四半期について「合成ゴムだけでなく、光学フィルムや電池材料など高機能材料セグメントの製品もある程度中国市場に出荷しており、こうした下振れも勘案した。第4四半期は旧正月という季節要因があり、従来でもアジア向け出荷が落ちる傾向にある。今期はそれに輪をかけて新型コロナウイルスの影響がどこまで響くのか。正直言って、先が読めない状況だ」と語った。
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