緊密な連携で企業価値の向上へ
本社探訪/東洋ゴム工業(兵庫県伊丹市)、タイヤメーカーならではの形状
タイヤ 2017-07-21
東洋ゴム工業は7月10日、兵庫県伊丹市にある本社及びタイヤ技術センターを報道陣に公開した。今年5月29日に本社を移転した伊丹市は、創業当初の1953年に伊丹工場を開設して以降、99年まで約半世紀にわたり生産拠点を構えていた、同社にとってゆかりの地。本社は、99年に建てられたタイヤ技術センターに隣接し、兵庫県川西市にある東洋ゴム基盤技術センターとも車で20分と近い。本社機能、タイヤ技術開発機能、研究開発機能が至近エリアに集積したことで、同社では緊密な連携による企業価値の向上を目指している。
新本社の外観はユニークだ。6階建ての4-6階部分は自動車タイヤをモチーフにした円形で、それが1-3階部分の上に乗っているように見える。伊丹市の企業市民として、新本社が街のランドマークとなるようにとの想いが詰まっている。タイヤを意識した円形は社内の照明やテーブルなど、あちらこちらで見ることができる。テーブルや壁にゴムの木が使用されているのも、タイヤメーカーならではだ。全館にLED照明を採用し、屋上には太陽光パネルを設置した。太陽光発電により、8-10%の電力をまかなっている。
オフィスのある4-6階は、中心部を吹き抜け構造にし、オフィスはこの中心に向かって年輪のように円形にデスクが配置されている。吹き抜け構造のため同じフロアはもとより、上下フロアを一目で見渡すことが可能。こうしたレイアウトが、部門を越えた情報共有のスピードアップに加え、一体感を生み出すコミュニケーション、従業員の満足度、帰属意識の向上に繋がっている。吹き抜け部分は「コミュニケーションコア」と命名。スタンディング形式での速やかな情報共有のほか、カフェ形式でのカジュアルな打ち合わせやブース内での時間をかけた打ち合わせもできる。
3階には会議室を配置。10人以上収容できる会議室の数を旧本社に比べ倍増させ、収容人数も1.8倍に拡充した。3つある大会議室を1つにすると、本社とタイヤ技術センターの計600人が収容できる大ホールになる。業務を開始した5月29日には、この大ホールに600人を集め、清水隆史社長から新本社稼働に際し、調和、誇り、変革について訓示があった。
2階には応接室、カフェラウンジを、1階にはエントランスホール、社員食堂を設けた。エントランスホールは、同社の先進性や独創性を伝える展示・映像放映スペースを設け、独自の世界観を発信している。社員食堂は、220人が同時に利用できる。カフェラウンジとあわせて、社員同士のコミュニケーション向上に一役買っている。
社員も新本社の機能を実感
移転後1カ月を経て行った、新本社ビル勤務者への意識調査では、部内でのコミュニケーションがとりやすくなった、関係部門とのコミュニケーションがとりやすくなった、対面のコミュニケーションが増えている、業務で直接関係していない人との距離感が近くなった―といった意見が多かった。新本社が目指した一体感を生み出すコミュニケーションなどの向上に繋がっているようだ。
また社員の声として、「社員が働く環境は大幅に改善されたと思う。あとは社員が自ら変わらなければならないと思う」、「以前に比べ、他部署との交流が増えてきているし、仕事面でもスムーズに進んでいるように感じられる」、「複数の部署が身近に感じられる。技術部門に隣接したことで、より密接な一体感を感じ、飛躍する原動力になると感じる」、「数々の課題を一丸、一体となって着実に乗り越えつつある。新本社稼働を新たな歴史の幕開けにしていきたい」といった前向きな声が多く集まった。
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