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【特集】ゴム企業の環境活動・環境対応製品

東洋ゴム工業、組織改正し、安全・環境機能を強化

タイヤ 2017-07-06

桑名工場では、地元の雑木林を整備し遊歩道を作っている

 
 東洋ゴム工業は、今年1月1日付の組織改正で、安全・環境が事業を継続するための必要不可欠な経営基盤のひとつであるとの考えから、各機能をバックアップする基盤機能を強化するため、これまでの環境安全推進部を「環境安全推進本部」に格上げした。同本部は傘下に「環境衛生推進部」「安全防災推進部」を置き、「環境衛生推進部」は、環境負荷低減に努めるとともに、事業継続の根幹となる“環境への配慮”を活動のひとつとして掲げている。

 環境負荷低減の取り組みのひとつであるCO2削減に関しては、排出量原単位を2020年までに2005年度比15%減を目標にしている。「2019年に仙台工場のガスタービンを本格稼働させ、CO2排出量の削減とエネルギ-効率を上げる。これにより日本ゴム工業会のCO2排出量15%削減目標をクリアすることができる」(瓜生知幸環境衛生推進部長)。

 また同社は、環境保護活動を行う非営利団体を資金面で支援することを目的として、1992年に「東洋ゴムグループ環境保護基金」を設置している。同基金を通じた支援活動は、2016年度までにのべ767団体に対して、4億2,600万円助成している。加えて2013年度からは、同社が自主選定した団体への直接支援の寄付・助成のほか、従業員ボランティア参加による人的支援も実施している。

 桑名工場では、地元・三重県員弁郡東員町の雑木林を、2014年から5年間かけて整備する「TOYO TIRES緑のつながり・三重」に取り組んでいる。工場のある東員町内の雑木林を認定NPO法人団体の指導のもと、間伐し遊歩道をつくり、周辺住民が森のなかで散策できる憩いの場づくりをめざしている。

 仙台工場は、工場所在地の宮城県岩沼市がすすめる震災復興活動のひとつである「千年希望の丘プロジェクト」を支援している。仙台工場の従業員が中心となり同プロジェクトでの植樹活動や草刈りのボランティアに参画している。

 「将来的には、本社、タイヤ技術センター、基盤技術センターの3事業所がある兵庫県において、3事業所共同で取り組める環境活動を実施したいと考えている」(同)

 環境保護活動を行う非営利団体の支援活動として2016年度は、徳島県阿南市で活動する「千年サンゴと活きるまちづくり協議会」など5つの環境保護団体に直接資金面の支援を実施した。

 同社は、長年、本社を置いていた大阪に対する感謝をこめて「大阪府緑の基金(木育基金)」を支援している。同基金は、大阪府にある保育所などの子育て施設の床や壁を府内の森林間伐材などを利用し内装を木質化するもの。木のぬくもりを感じることでストレス緩和や室内の快適性を高め、子供たちの健全な成長と大阪の森林の活性化をめざすユニ-クな取り組みだ。

 製品面での環境配慮の取り組みは、低燃費タイヤ「NANOENERGY」シリーズのグローバル展開。国内では低燃費タイヤとして「ナノエナジー3plus」を主に展開している。同タイヤは、国内タイヤラベリング制度における転がり抵抗性能「A」グレードとロングライフを実現した耐摩耗性能を高い次元で確保しつつ、従来品よりウェット性能をさらに向上させた商品。NITTOブランドでは、SUV専用ラグジュアリー低燃費タイヤ「NT421Q」を今年2月から発売した。

 同社では、環境に貢献する低燃費タイヤの開発方向として「低燃費性能に加え、さらなるウェット性能の向上やノイズの低減に取り組み、環境貢献プラス安全性、快適性の向上をはかっていく」(同)としている。

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