航空機用タイヤ事業における優秀事例などを表彰
ブリヂストン、第13回ブリヂストン グループ・グローバルTQM大会を開催
タイヤ 2023-12-08
ブリヂストンは、「第13回ブリヂストン グループ・グローバルTQM大会」を開催した。同大会は、革新的な改善事例をグローバルで共有して相互研鑽することを目的としている。
2023年は、世界各地域・事業所から応募された改善事例のうち、最終選考として16件が発表され、スペイン、アメリカ、ベトナム、日本などの計9つの事業拠点が表彰された。
グランプリは、「データ活用による航空機用タイヤのリトレッド可能回数の向上」に取り組んだ日本の技術センター(東京都小平市)が受賞した。
◇グランプリ受賞内容
「モノづくりDXによる航空機用タイヤのリトレッド可能回数の向上でサステナビリティに貢献!」
◇これまでの課題
航空機用タイヤは、タイヤ1本当たり30トンにも上る重量を支えながら約350キロの速度で離着陸を繰り返し、着陸時のタイヤ表面温度は250度以上、フライト時は高度1万メートルで気温マイナス45度の環境に対応するなど、非常に過酷な条件下での安心安全を守ることが求められる。そのためには多くの高機能部材を組み合わせた設計と製造が必要となる。
航空機用タイヤは航空機の離着陸数百回毎に交換され、新品タイヤは複数回のリトレッドが可能だ。リトレッドは、高耐久なケースを再利用して、摩耗したトレッド部のみを更新することで、高い資源生産性と環境負荷低減によりサステナビリティに貢献。さまざまなエアラインや空港で使われるため、タイヤ使用環境が多様であると共に、新品タイヤ製造過程における暗黙知としての匠の技による部材配置精度との組み合わせで、さらなるリトレッド回数の向上が難しい状況にあった。この課題に対し、製造現場の暗黙知の可視化と工程への落とし込みにより、リトレッド回数を向上することに挑戦した。
◇改善活動・成果
リアル×デジタル融合による新しい価値創造の取り組みとして、デジタルを活用し、新品タイヤ1本あたりの製造過程において、7,000超のデータを収集。それにより、難しい作業のポイントなど、匠の技として、暗黙知となっていた熟練作業員の手作業による製造過程を可視化し、標準化へ取り組んだ。そのデータと、航空機に装着、使用された後のタイヤの状況を示すデータを組み合わせたビッグデータの解析により、タイヤ1本毎の各部材の配置精度と市場での使用環境との関係性を洗い出し、対策を検討することができた。
その結果、匠の技を再現できる部材カット治具の開発や製造方法の標準化などを行うことで、暗黙知であった匠の技を形式知化し、リトレッド回数に影響が大きい部分の精度を上げ、リトレッド回数のさらなる向上に繋げた。これにより、タイヤ1本1本をより長く大切に使うことができ、資源生産性の向上や環境負荷の大幅な低減に大きく貢献する。
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