非常に優れた氷上性能、雪上性能から得られるのは氷雪路での絶対の安心感
横浜ゴムの乗用車用スタッドレスタイヤ「iceGUARD 7」
タイヤ 2022-10-04
横浜ゴムが昨年発売した乗用車用スタッドレスタイヤ「iceGUARD 7(アイスガード7)」は、「YOKOHAMAスタッドレスタイヤ」の第7世代として、アイスガードが一貫して追求してきた氷上性能をさらに向上させた商品だ。雪上性能もレベルアップするとともに、従来品である「アイスガード6」で定評のあった性能持続性も兼備している。今年2月、同社の北海道タイヤテストセンター(北海道旭川市)および同市周辺の公道で、アイスガード7の実力を体感した。
横浜ゴムスタッドレス史上最大の接地面積と溝エッジ量を確保
アイスガード7は、従来品であるアイスガード6に比べ、氷上制動時に14%短く止まる。カーブでふくらみにくく氷上旋回性能は7%向上、氷上発進/加速性能に関しても15%向上している。アイスガードシリーズが追求し続けてきた氷上性能は、それぞれ大幅な進歩を遂げている。一方、雪上に関しても3%短く止まり、旋回性能は同等以上、発進/加速性能は3%向上と、従来品から性能を高めている。
氷上、雪上性能の向上に寄与したのが、新たに開発した専用パターンとアイスガード7専用のコンパウンドである「ウルトラ吸水ゴム」だ。
トレッドパターンは、氷上性能向上に欠かせない接地面積と雪上性能に必要なエッジ量をそれぞれ大幅に増加させた。一般的に「氷上性能」と「雪上性能」は相反する性能とされ、氷上性能を高めるため接地面積を拡大すると、溝面積の比率が小さくなり雪上性能は悪化する傾向にある。そこで同社は、新たな開発アプローチとして接地とエッジを両立させるために、雪上性能の向上に効果のある「溝エッジ量」に着目。氷上性能と雪上性能それぞれが最大効果を発揮するバランスを追求することで、同社スタッドレスタイヤ史上最大の接地面積と溝エッジ量を確保した。
ウルトラ吸水ゴムは、これまで実績のある「新マイクロ吸水バルーン」、新採用の「吸水スーパーゲル」の組み合わせによって、氷上で滑る原因となる氷表面の水膜を素早く吸水するとともに、「ホワイトポリマーⅡ」を新たに採用しシリカを均一に分散させることで、ゴムが氷にしなやかに密着する。また、新採用の「マイクロエッジスティック」が氷や雪を噛むエッジ効果を発揮し、実績のある「オレンジオイルS」が密着に欠かすことのできないしなやかさを維持。劣化抑制効果を発揮する。約4年後もほぼ変わることなくしなやかだ。
北海道タイヤテストセンターで実施した試乗会では、アイスガード7とアイスガード6、アイスガード7に使われているウルトラ吸水ゴムを使用したスリックタイヤの比較を、屋内氷盤試験路での氷上制動、屋外での雪上スラロームで行った。
屋内氷盤試験路ではマイナス10度の極低温、やや水の浮くマイナス2度の低温で制動距離を比較した。プリウスを30キロまで加速しブレーキをかける。ABSも作動する。
スリックタイヤでも止まったのは、アイスガード7に搭載されたウルトラ吸水ゴムの性能の高さと言えるが、その優れたコンパウンドにトレッドパターンの性能が加わったアイスガード7は、当然制動距離が最も短かった。もちろん、従来品であるアイスガード6の氷上性能が悪いわけではない。アイスガード6の完成度も高く十分に止まるのだが、アイスガード7がその上を行っており、より氷に吸い付き捉えている印象だ。ブレーキを踏んで止まる時の距離だけでなく、「間違いなく止まる」という安心感を得ることができる。
雪上スラロームでは、プリウスで3種のタイヤを、ヴェルファイア、GRヤリスでアイスガード7と6を比較、またアイスガード7を装着したGR86も試乗した。時速は40~60キロ。
溝のないスリックタイヤも曲がるには曲がるがさすがに厳しい。溝の重要性を改めて感じた。アイスガード7と6の比較では、車重の重いヴェルファイアでその差がより顕著に出た印象だ。アイスガード7装着車がハンドル操作をイメージ通り行えるのに対し、アイスガード6はリアがやや流れ、それを立て直す分、次のハンドル操作が遅れる。もちろん、アイスガード6の雪上性能も高水準だが、氷上性能同様にアイスガード7がそれを上回る。また、アイスガード7は強引なハンドル操作で一時的に破綻しても、そこからの回復が非常に早く、やはり安心感が高い。GR86はアイスガード7のみでの運転だったが、FRであるGR86で雪上スラロームを普通に行えたことには驚いた。
翌日は、旭川市内の宿泊先から上川郡東川町にある大雪山旭岳ロープウェイ、同地から旭川空港までを運転した。試乗車はカローラスポーツ。
行程には様々な路面が存在。旭川市内は圧雪路だけでなく、交差点付近には通行した車両によって磨き上げられた、非常に滑りやすい氷盤路があった。そこから市内を出て郊外へ行くと、アスファルトに熱線が埋め込まれているのか、路上はドライもしくはウェットの状況となり、センターライン上を除き、雪は存在しない。その後、旭岳ロープウェイに至る道路は、一転して圧雪された山道になる。
磨き上げられた旭川市内の交差点でも、安定した挙動のままきれいに止まる。郊外のドライ、ウェット路面ではスタッドレスタイヤにもかかわらず、しっかりとした剛性感を感じる安定したドライビングができた。音も非常に静かだ。旭岳に至る圧雪路の山道では、坂の上り降り、それに山道ならではのカーブの連続もあったが、全く不安がない。ハンドルを通して伝わってきたのは、しっかりとした接地感だった。
今回の試乗会では、従来品であるアイスガード6の性能の高さを改めて感じることができたが、それを上回るアイスガード7の完成度の高さに驚かずにはいられなかった。氷上、雪上、交差点、山道、どんな組み合わせの冬道でも不安なく運転できる。ドライバーが冬道に強く求めるだろう絶対的な安心感をアイスガード7は持っている。
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