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【特集】低燃費タイヤ開発を支える基幹技術

ブリヂストン、「ナノプロ・テック」「エコ効きもちゴム」

タイヤ 2018-04-24

エコ効きもちゴム



 低燃費タイヤは、転がり抵抗の低減とウェットグリップの向上という背反する性能の両立が求められる。タイヤに求められる性能を達成するために、タイヤ各社が取り組んでいるのが、原材料段階からの開発。原材料を使いこなすことが、タイヤ開発には必須となっている。

 ブリヂストンが、タイヤ開発の基幹技術として位置付けているのが、「ナノプロ・テック」。ナノプロ・テックは、タイヤに使用される合成ゴムや天然ゴムといったポリマー、シリカやカーボンブラックといった充填剤、様々な薬品などの原材料を分子レベルで確認、予測した上で、ゴムの構造を100万分の1ミリ単位で自在にコントロールする技術だ。タイヤに必要とされる性能を極限まで引き出すための独自技術で、2006年7月に初めて発表し、現在も進化している。

 タイヤに求められる性能を出していくには、どのような原材料を使用し、それらをどのように分散していくのかが重要になる。ブリヂストンは「タイヤの原材料をどう操るかが、タイヤの性能を決める大きな要素になる。分散の考え方など、操る方向性である程度はタイヤの特徴が決まってくる」と話す。

 ナノプロ・テックを活用した例の一つが、充填剤であるシリカの分散性向上。低燃費タイヤでは転がり抵抗の低減とウェットグリップの向上のバランスが必要になるが、その両立のために充填剤にはシリカが用いられる。

 ただ、シリカは凝集しやすい。凝集するとシリカ同士が擦れ合い、そこにエネルギーロスが発生。転がり抵抗悪化の要因となってしまう。そのため、シリカをいかにまんべんなく分散させるかが重要で、そこにナノプロ・テックの技術が生かされている。シリカの分散にあたって行ったことの一つがポリマーの変性。ポリマーの一部分を変性することで、シリカ同士ではなくシリカとポリマーとがくっつきやすく、シリカとまんべんなく混ざり合うようにした。

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