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【特集】リトレッド(更生)タイヤ

弘進リトレッド、コンパウンドの品質向上

タイヤ 2016-09-26

本社工場のリトレッド製造ライン

本社工場のリトレッド製造ライン


 弘進リトレッド(本社・仙台市宮城野区中野字掃沼、釼持榮吉社長)は、本社工場に加えて埼玉・熊谷市、千葉・市原市、さらに秋田・能代市に協力工場があり、計4カ所にリトレッドタイヤ製造拠点を持つ。自社拠点の3カ所には営業所を併設、神奈川・厚木にも営業拠点がある。

 4工場合計の生産能力は、年間約10万本。

 同社の現況をみると、前期(16年5月期)は減収減益となったが、減益といっても小幅の減益にとどまったとしている。「市場環境が悪い中でも、そこそこ健闘したのではないかと思う。今期の足元の状況は、10―11月の需要期を控え、フル生産に近い状態が続いている」(釼持社長)という。

 当面の課題については、数年前と比べてやや緩和されつつあるも、人手不足をあげる。今年5月時点で、在庫水準が前年の70%になったが、これは主に人手不足が原因。このため、残業と休日出勤で補っているが、「まだ十分補いきれていない」(同)。

 一方、ひと頃顕在化した台タイヤの不足感は、一部のサイズを除いて解消されつつあるという。これまで日本の台タイヤは高品質であるため、世界中から引っ張りだこという状況が続き、これが台タイヤ確保を困難にするひとつの要因となっていた。

 今はユーザーが使用した台タイヤをメーカーが預かり、リトレッドを行って返却する自社台方式(委託リトレッド)が増えたことで、日本の品質の良い台タイヤの輸出が止まり、それが不足感の解消に一部つながったとしている。

 弘進リトレッドでは、台タイヤは専門業者を通じて集め、国内外のブランドを問わず幅広くトラック・バス用タイヤのリトレッドを手がけている。

 ただ、委託リトレッドによるユーザーの囲い込みが進み、一部を除き特に4トン車クラス以上の台タイヤの確保が難しく、価格も上昇傾向にあるとしている。

 今後の生産に関する計画では、リトレッドは品質を維持するために設備投資は欠かせないが、設備機械の投資は一段落したとして、今期は品質の向上を課題にあげている。トレッドゴム用コンパウンドの品質を上げることは、リトレッドタイヤの耐摩耗性向上や接着強度アップにつながる。同社では、新品タイヤに準じた寿命をもたせることで、タイヤのロングライフを求めるユーザーニーズにさらに応えていきたいとしている。

 「品質とコストの両面で生き残りをかけるしかないが、そのためには独自色を出していけるかが課題だ」と、釼持社長は話す。

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