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モールド技術のコントロールタワー

【工場探訪】ヨコハマモールド、モールドの設計・製造・販売・調達など担う

タイヤ 2017-12-01

 ヨコハマモールドは、モールドを開発・設計・製造しており、横浜ゴムに販売している。また、横浜ゴムの工場(海外を含む)でモールドのメンテナンスや簡単な修理が行えるよう、技術指導も実施している。年に7-8回、研修生を受け入れ、現在4人いるマイスターと呼ばれる熟練工が指導・研修を行っている。モールドはきちんとメンテナンスすれば、10年以上はもつそうだ。

 横浜ゴム国内外の工場で使用するモールドは全てここを経由(もしくは検査証をチェック)するため、ヨコハマモールドはモールドにおけるコントロールタワーの役割を果たしている。

 モールドはセクター(トレッド部)とサイドプレート(サイド部)の2種類で構成されており、セクターには加工性の高いアルミが、サイドプレートには耐久性の高い鉄が用いられる。タイヤ製造の際には、グリーンタイヤをモールドで囲み、中からブラダー(ゴム風船のようなもの)で膨らませ、圧力と熱をかけて加硫することでタイヤが出来上がる。

マスターモデルの加工


 セクターの製造工程は、2次元データを設計部で3次元データに直し、ケミカルウッドという樹脂材を機械で彫り、「マスターモデル」を作る。従来は石膏でマスターモデルを彫っていたが、耐久性などを考慮して樹脂材になったという。マスターモデルが彫り上がったら、彫った溝にステンレス板をカット・プレスして製作したダミーサイプを差し込んでいく。

 次にマスターモデルにゴムを流してゴム型を作る。そこに再びサイプを差し込み、石膏を流すことで石膏型をとる。その際、ゴム型に差し込まれたサイプはそのまま石膏が咥え込んでいく。

人の手による仕上げ


 その後、石膏型に低圧鋳造法という方式でアルミを流し込む。まず石膏の水分を乾燥機で乾燥。次に石膏の温度を300度まで上昇させる。そこにアルミをゆっくりと流し込んでいく。乗用車用のタイヤならば1時間くらいかけてアルミをいきわたらせる。アルミの温度はおよそ750度。低圧鋳造法を採用しているのは、均一にアルミをいきわたらせるためだという。その後、セクターは冷却され、8-9個に分割(乗用車用の場合。トラック・バス用になると最大で20個以上のパーツに分割することもある)し、人の手によってバリなどを削りとる。

 最終的に加硫時に空気を逃がすための1.3ミリの穴をあける(タイヤになるとこれがヒゲの部分になる)。通常の乗用車タイヤなら1セットでおよそ1,600穴、スタッドレスタイヤだと1セットで3,000穴くらいの穴数になるという。

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