PAGE TOP

2022年12月期第3四半期業績

住友ゴム工業、タイヤ事業は増収大幅減益

決算 2022-11-09

 住友ゴム工業の2022年12月期第3四半期(1~9月)業績(IFRS)は、売上収益が7,815億1,200万円で前年同期比18.9%増、事業利益が123億7,400万円で同61.4%減、四半期利益が143億7,200万円で同30.7%減だった。

 事業利益段階の増減要因をみると、増益要因は、価格で508億円、数量・構成他で242億円(北米アンチダンピング関税▲14億円、未実現利益84億円、その他数量・構成172億円)、スポーツで11億円の計761億円の増益。減益要因は、原材料で554億円(天然ゴム▲95億円、石油系▲409億円、他▲50億円)、海上運賃で239億円、直接原価で92億円(エネルギーコスト▲58億円、他▲34億円)、固定費で24億円、為替で11億円、経費で29億円、産業品他で9億円の計958億円の減益。差し引き197億円の減益となった。

 セグメント別にみると、タイヤ事業は売上収益が6,612億9,200万円で同19.8%増、事業利益が34億600万円で同85.4%減。

 国内新車用タイヤは、世界的な半導体不足などによる自動車メーカーの減産影響の継続を受けて低調に推移。足元の販売状況は前年同期を上回るなど若干の回復傾向はみられるものの、第3四半期累計の販売は前年同期を下回った。

 国内市販用タイヤは、夏タイヤでは新商品のグローバルフラッグシップタイヤやプレミアム商品の販売が好調に推移。オールシーズンタイヤは市場認知度が徐々に上がってきており販売が伸長。冬タイヤの販売は年初の降雪の影響に加え、値上げ前の仮需発生もあり販売が好調に推移したことで販売は前年同期を上回った。

 海外新車用タイヤは、半導体不足による自動車メーカーの減産はあったが、新型コロナウイルス感染症の影響で大きく落ち込んだ前年同期よりも販売が回復し、前年同期を上回った。

 海外市販用タイヤは、アジア・大洋州地域においては、インドネシアやタイでは前年同期に比べると新型コロナの影響が緩和されたこともあり回復傾向が見られたものの、中国でゼロコロナ政策の影響もあり販売は前年同期を下回った。欧州においてはインフレ進行の影響もありタイヤ需要が鈍化してきているが、販売はほぼ前年同期並みとなった。米州地域においては、北米では低採算品の販売を縮小したことなどにより販売数量は減少したものの製品構成が改善。南米においては地産地消の強みを活かし、旺盛な市販用タイヤ需要に対応して販売を伸ばした。

 スポーツ事業は売上収益が899億2,100万円で同18.2%増、事業利益が82億5,800万円で同15.3%増。

 ゴルフ用品は世界的なゴルフ需要の高まりによる部材不足などはあったものの、北米、韓国など海外市場を中心に販売を伸ばし増収。テニス用品も同様に増収。ウェルネス事業では新型コロナに係るまん延防止等重点措置の影響はあったが、新規出店効果もあり増収となった。

 産業品他事業は売上収益が302億9,900万円で同4.4%増、事業利益が5億4,800万円で同65.2%減。国内の使い切りゴム手袋は販売が減少したが、医療用ゴム製品やOA機器用ゴム部品の受注は増加した。

 通期業績予想を下方修正
 同社は2022年12月期通期業績予想を下方修正した。

 半導体不足による自動車生産台数減少影響の継続、インフレ進行や新型コロナによる行動規制などの影響を受けて、北米や中国などの市販用タイヤ需要が前回発表時よりも鈍化する傾向が見られ、利益面においても、販売減少に伴う利益減少の影響があり、売上収益、事業利益および当期利益のいずれも前回発表予想を下回る見込み。

 ■2022年12月期通期業績予想
 ◇売上収益=1兆1,000億円(前回予想1兆1,450億円、増減率3.9%減)◇事業利益=130億円(同310億円、同58.1%減)◇当期利益=150億円(同245億円、同38.8%減)

 事業利益段階の増減要因をみると、増益要因は価格で682億円、数量・構成他で118億円(北米アンチダンピング関税▲19億円、未実現利益17億円、その他数量・構成120億円)の計800億円の増益。減益要因は、原材料で685億円(天然ゴム▲87億円、石油系▲536億円、他▲62億円)、海上運賃で233億円、直接原価で137億円(エネルギーコスト▲83億円、他▲54億円)、固定費で30億円、為替で39億円、経費で50億円、スポーツで1億円、産業品他で15億円の計1,190億円の減益。差し引き390億円の減益を予想している。

 セグメント別にみると、タイヤ事業は売上収益9,410億円で前期比18%増、事業利益40億円で同90%減。スポーツ事業は売上収益1,170億円で同15%増、事業利益85億円で同1%減。産業品他事業は売上収益420億円で同6%増、事業利益5億円で同75%減を予想している。

人気連載

  • マーケット
  • ゴム業界の常識
  • 海から考えるカーボンニュートラル
  • つたえること・つたわるもの
  • ベルギー
  • 気になったので聞いてみた
  • とある市場の天然ゴム先物