【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、約8カ月ぶりの高値更新
連載 2025-12-01
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=330円台後半まで値上がりする展開になった。11月21日高値は339.40円に達し、4月3日以来の高値を更新している。上海ゴム相場の値動きは限定的であったが、11月は一貫して円安環境から支援を受けており、円建てゴム相場は底固く推移している。東南アジアの天候不順、減産期に向かう季節要因もポジティブだが、需給動向はあまり重視されない地合が続いている。

上海ゴム先物相場は1トン=1万5,000元台前半でやや調整売りが優勢の展開。11月は押し目買いに下値を支えられる展開が続いていたが、1万5,000元台中盤では上値の重さを再確認している。
11月はおおむねドル/円相場の動きと連動した展開が続いている。上海ゴム相場が明確な方向性を打ち出せない中で、円建てゴム相場のみが上昇している。高市政権の積極財政に対する警戒感が強く、日本の長期債売り(=長期金利上昇)と連動して円が売られる展開が続いている。ただし、11月20日に1ドル=157.89円と1月15日以来の円安・ドル高になった後は、片山財務相が為替介入の可能性を示唆したこともあり、値動きが鈍化している。米利下げ観測がドルの上値を抑えたこともあり、27日時点では156円台前半まで円安修正の動きが観測されている。こうした動きと連動して、円建てゴム相場は上げ一服となっている。円主導の展開を12月に持ち越すのか、需給評価主導の展開に回帰するのかが焦点になっている。
一方、東南アジアでは豪雨傾向が強まり、タイ南部では「300年ぶりの豪雨」(タイ灌漑局)が報告されている。この影響で河川の氾濫や鉄砲水の被害が拡大し、ハジャイなどでは洪水被害も報告されている。このため、ゴム生産・流通への影響が警戒されるが、供給リスクのプレミアムを加算していくような動きは見送られた。
また、産地はこれから減産期に向かう季節環境にあるが、季節要因で買い進むような展開も見送られている。これから徐々に供給量が抑制される一方、需要家は減産期に向けて在庫手当てを強化する傾向が強まりやすい時期だが、OSEゴム相場は緩やかな順サヤ(期近安・期先高)傾向を維持している。
原油相場が軟化している。米国主導でウクライナの新和平案が取りまとめられ、ウクライナに対して受け入れを迫っている。2022年から続いてきた戦闘状態の終結観測が、原油相場を押し下げていることは、ゴム相場に対してもネガティブ。ただし、米利下げ観測から非鉄金属や鉄鉱石相場は強含むなど、産業用素材市況は強弱まちまちの展開になった。他素材市況と連動した売買も見送られた。
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