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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、急激な円高で上値重い展開

連載 2024-07-22

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=310円台後半まで値下がりする展開になった。産地供給不安が再燃していることが下値を支える一方、中国経済の減速懸念が上値を圧迫し、明確な方向性を打ち出せなかった。為替が大きく円高に振れたこともあり、5月16日以来となる約2カ月ぶりの安値を更新したが、決定打を欠いている。

 上海ゴム先物相場は1トン=1万4,000元台中盤で上値の重い展開になり、5月15日以来の安値を更新した。

 中国経済の減速懸念が、産業用素材市況全体の上値を圧迫している。非鉄金属や鉄鉱石、原油相場等が下押しされており、その流れの中で上海ゴム相場も値下がりした。

 中国の4~6月期国内総生産(GDP)が発表されたが、前年同期比4.7%増となった。1~3月期の5.3%増を大きく下回り、中国経済の減速傾向が強くなったと評価されている。不動産市場の停滞が続いていることに加えて、個人消費環境の悪化も深刻化している。

 中国に関しては、6月の新車販売台数が前年同月比2.7%減と4カ月ぶりに前年同月割れになっていたが、景気減速によるタイヤ需要の減退が一段と強く警戒されたことはネガティブ。

 一方、タイ中央ゴム市場(ソンクラ地区)のRSS現物相場は、7月18日時点で前週比3.4%増の1キロ=68.05バーツとなった。10日の64.09バーツをボトムに、改めて地合を引き締めている。

 6月から7月上旬にかけては、産地気象環境が安定化したことを受けて、産地相場は急落していた。供給リスクの織り込みが求められなくなり、割高感のある価格水準が是正された。しかし、7月中旬にはタイ北部などで豪雨、洪水などの天候障害が報告されており、産地相場は下げ一服となっている。大規模な生産、流通障害などが発生しているわけではないが、天候不順が長期化するとゴム供給環境にも大きな影響が生じる可能性がある。産地相場の急落地合が一服していることはポジティブ。この結果、JPXゴム相場は、改めて期近限月にプレミアムを加算する動きをみせている。

 「需要不安の高まり」が新たなテーマとして浮上するタイミングで「供給不安の高まり」が浮上し、ゴム相場は強弱材料に挟まれる展開になった。需要リスクと供給リスクのどちらを重視するのかが問われる不安定な地合になった。

 一方、為替市場では急激な円高圧力が発生している。7月11日と12日に日本政府・日本銀行の円買い・ドル売り介入が行われた模様だ。1ドル=161円台後半から156円台前半まで急激な円高が進行していることが、円建てゴム相場の上値を圧迫した。

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