【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、産地主導の急伸地合に
連載 2024-01-22
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=270円水準まで急伸し、2023年11月29日以来となる1カ月半ぶりの高値を更新した。年初から急落していた上海ゴム相場が安値から切り返したこと、産地相場の上昇ペースが加速したこと、為替が円安気味に推移したことなどを背景に、期近限月主導で大きく値上がりしている。年初から250円台で売買が交錯する展開になっていたが、一気に戻り高値を更新した。

上海ゴム先物相場は1トン=1万3,000元台中盤での保ち合いを経て、1万3,000元台後半まで切り返している。中国経済の減速懸念を背景に中国株は急落しているが、上海ゴム相場は逆行高になった。中国の10~12月期国内総生産(GDP)は前年同期比5.2%増となり、市場予想の5.3%増に届かなかった。著しく悪い数値とまではいえないが、中国経済の成長に対する信頼感が後退したことはネガティブ。12月鉱工業生産は前年同月比6.8%増(前月は6.6%増)、12月小売売上高は同7.4%増(同10.1%増)となったが、こちらはあまり材料視されなかった。
中国株価の急落と上海ゴム相場の急伸が共存した背景だが、産地相場の上昇ペースが加速した影響が大きい。産地相場は2023年12月からじり高傾向が続いていたが、ここにきて上昇ペースが加速している。タイ中央ゴム市場(ソンクラ)の現物相場は、1月18日時点で前週比6.0%高の1キロ=63.69バーツとなっている。年初からの累計では11.2%高となっている。
特段の集荷トラブルなどは確認できないが、生産地で豪雨傾向が報告されている影響などが指摘されている。減産期が近づいている影響もあろう。いずれにしても産地相場が急伸していることが、消費地相場も押し上げている。JPXゴム先物市場では当限の上昇幅が大きく、当先の順サヤ(期近安・期先高)傾向は維持されているものの、当限のディスカウント幅が急速に縮小している。
2023年秋には産地の集荷トラブルと国内低在庫環境を背景に当限主導の急伸地合が形成された直後とあって、当限が240円水準での保ち合い相場から260円台中盤まで短期間に急伸したことが、期先限月も押し上げた。
為替相場が2023年11月28日以来の円安・ドル高となる1ドル=148円水準に達していることも、円建てゴム相場を押し上げた。
中東では、イエメンの武装組織フーシ派が船舶に対する攻撃を行っており、紅海からスエズ運河経由で地中海に至る海上輸送ルートが混乱している。このため、欧州で原材料調達の遅れからタイヤ工場の操業停止なども報告されているが、ゴム相場に対する影響は限定された。
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