【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、昨年の高値に迫る展開
連載 2020-01-20

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=205-208円水準まで値上がりする展開になった。年明けと同時に中東の地政学リスクに直面したが、ゴム相場は200円の節目水準で明確な方向性を打ち出せない展開が続いていた。しかし、1月14日の取引で突然に208.20円まで急伸し、昨年3月4日以来の高値を更新している。
上海ゴム先物相場も年初から1トン=1万3,000元水準で方向性を欠く展開が続いていたが、1万3,425元まで小幅上昇し、昨年12月13日以来の高値を更新している。その後は上げ幅を削る展開になったが、総じて底固い展開になっている。
中東の地政学リスクに関しては、消化が一巡し、投資家のリスク選好性が高まったことが、ゴム相場も支援した。米国とイランがともに本格的な武力衝突を望んでいないことが確認される中、地政学リスクはピークを脱したとの見方が優勢になった。
また、1月15日に米中通商協議の「第一段階」の合意文書署名を控えていたことも、投資家のリスク選好性改善を促がした。米国株は改めて過去最高値を更新し、銅などの主要な産業用素材市況は強含みの展開になり、円安が進行したことが、東京ゴム相場を支援した。
ただ、今回の米中通商合意では、米国の制裁関税の撤廃、中国の産業政策変更といった根深い対立がある分野については問題を先送りしており、米中当局者からは「第二段階」の合意は秋の米大統領選後になるといった慎重な声も目立つ。このため、一本調子のリスクオン環境にはならず、東京ゴム相場も昨年高値209.50円に迫る展開になったものの、調整売りに上値を抑えられている。
産地の集荷環境は安定している。降雨が観測されているものの土壌水分が不足しているとの警戒感がある一方、年末・年始にはインドネシアで洪水が発生したが、大きな供給トラブルは確認できていない。
ただ、タイ中央ゴム市場の現物相場は、1月16日時点でUSSが前週比1.6%高の1キロ=41.43バーツ、RSSが同4.3%高の44.67バーツと堅調に推移している。連日のように年初来高値を更新する展開になっていることが、消費地相場でも買い安心感を誘っている。東南アジアでは、これから乾季に向かうが、今季は昨年に続いて土壌水分不足に対する警戒感が強く、産地主導の上昇圧力が発生するかが注目される。
ただ、昨年10月以降の急伸相場を主導した海外ファンドは、積極的な売買を見送り続けている。このため、高値更新サイクルが再開されたが、薄商いの持ち高調整中心の展開に留まっている。
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