【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、投機買いで4カ月ぶり高値
連載 2019-11-25

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=180円台後半まで値上りする展開になった。特に目立った買い材料は見当たらず、逆に米中通商協議の難航が報告されるなど、ネガティブ材料の方が目立った。実際に株式や他コモディティ相場は値崩れこそないが上値の重い展開になっており、ゴム相場のみが一本調子の上昇トレンドを維持している。7月25日以来となる約4カ月ぶりの高値を更新している。
上海ゴム相場も、1トン=1万2,000元の節目水準で揉み合う展開が続いていたが、11月20日の取引で突然に1万2,500元を突破し、中心限月ベースでは約9カ月ぶりの高値を更新している。上海株式相場は上値の重い展開になっているが、中国通貨人民元相場の軟化もあって、一気に吹き上げた。
11月のマーケットでは米中通商協議の行方が注目されており、メディアの報道や当局者の発言に一喜一憂する展開になっている。11月中旬は、中国の強く要求している関税撤廃に米国が慎重と報じられており、合意文書署名が越年する可能性が警戒されている。特に香港情勢に絡んで米上院が「香港人権法案」を可決し、中国の習近平政権に圧力を掛ける中、通商協議が破綻するのではないかといった声さえ聞かれる。
このため、リスク資産全体の上値の重さが目立ったが、ゴム相場のみが大きく上昇する展開が続いている。
タイ中央ゴム市場の集荷量は安定している。「ペスタロチオプシス」の感染拡大に対する警戒感もあり、産地ではドローンを使った農薬散布なども報告されているが、少なくとも足元の集荷量に目立った落ち込みは確認できない。現物相場は、11月21日時点でUSSが前週比0.1%安の1キロ=38.75バーツ、RSSが同2.1%上昇の40.99バーツ。RSSは40バーツ台定着を打診する展開になっている。
ゴム相場の上昇地合に関しては、明確な理由が見当たらない。一応は、米中通商合意による経済環境の改善期待、「ペスタロチオプシス」の感染拡大による供給不安などの影響を指摘することも可能である。しかし、米中通商協議の難航が報告され、株安、円高、商品安が進んでも、ゴム相場の上昇地合に変化は見られない。また、供給不安であれば産地主導の上昇になるはずだが、実際には東京や上海といった消費地主導の上昇になっている。
単純に「上がるから買う」という投機色の強い相場環境が続いている可能性が高い。出来高も特に盛り上がりを見せておらず、過熱状態との警戒感を無視する形で、上値追いの展開が続いている。投機買いの限界がどこにあるのかを打診する局面になっている。
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