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連載コラム「白耳義通信」34

「年齢ってそんなに大事?」

連載 2019-07-17

 今年も早目の夏休みを日本で過ごしている最中です。日本を離れて暫くは梅雨の時期に帰国することは無かったので、体に纏わりつくようなじめじめとしたこの時期に帰ることを考えるだけでも最初は嫌でした。しかしいざ帰ってみると思っていたほどのことでもなく、これは雨に対して余り否定的な見方をしないベルギー人のお陰かもと考えているところです。

 日本に帰った時不思議に思うことの一つに年齢を聞かれたり書いたりすることがあります。ベルギーで生活をしていて先ず年齢を聞かれたり書くことはないので(生年月日を書くことはあっても年齢は書かない。また市役所など公共の機関ではIDカードを提出するので、機械で読み取れば全てが分かるようになっている)、いざ聞かれると自分の年齢を忘れていることもあるほどです。

 日本で一度病院のお見舞いに訪れた時、名前の後に年齢を書く欄があって非常に驚いたことがありました。「何故書く必要あるのですか?」と聞いたところ、明確な回答が無かったのでただ単に慣習になっているのでしょう。また誰かを紹介する際、テレビや新聞・雑誌を見ていても必ずといっていい程名前の後に年齢が記入されています。また初対面でもいきなり「何歳?」と聞かれることもあってビックリするのですが、これは上下関係が会話にも大きく関係するからでしょうか。しかしベルギーではよっぽどのことが無い限り、ましてや初対面で歳を聞かれることも無いことに慣れてしまったので面食らいます。

 数年前、日本の大女優がフランスの大女優に「今何歳ですか?」とインタビューする動画を見たことがあります。恐らく通訳も相当困ったのでは無いでしょうか。通訳は自分の意見を挟むことはできないので仕方なく通訳したようですが、フランス人女優は「一体この人は何を言い出すの?」と画面越しにアリアリと不快感が読み取れました。日本の女優は「(古希を超えられた)この歳でこんな演技ができるなんて凄い!」と言いたかったようですが、年齢を重ねただけで凄い演技ができる訳でもないし、何が言いたいのかさっぱり伝わらず微妙な空気が流れていました。文化の違いを感じたシーンでもあります。

 日本のように「学年」という意識が希薄なこと(親が判断すれば、一年遅く小学校に入ることも出来るし、先輩後輩という概念もない)や初対面の方に丁寧に話したり目上の方を敬うことはあっても、通常立場で言い回しがそれ程変わらないからでしょうね。そんな環境で生活しているので、いざ日本に帰った時先輩のことを友達のように呼んでしまい冷や汗をかくこともあります。

 近い将来、日本にエイジ・ハラスメントと言われる時代が来るでしょうか。

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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