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連載コラム「白耳義通信」32

「EU議会選挙」

連載 2019-05-15

 春の風物詩「白アスパラガス」を毎日のように満喫している今日この頃です。食べた後のトイレの匂いが気になりますが、調べたら遺伝的に匂いを嗅ぎ分けられない人もいるとか。通りで「自分は臭わない」という人がいるわけです。昨年秋から日本に持ち込む野菜の規制が厳しくなったようで(輸出国政府機関による検査証明書が必要になった為)、ベルギーを代表する野菜である「白アスパラガス」と「チコリ」を日本の食卓に並べるのは難しくなりました。

 さて今月26日には EU議会選挙が行われます。投票権の無い自分ですが、連日のようにニュースで報道されているので弥が上にも気になります。EU議会選挙に限ったことではありませんが、日本のように選挙期間中選挙カー(街宣車)が走るわけではないので、街はいつもと変わらず静かです。その代わりと言ってはなんですが、連日テレビでは討論会が行われ、各党を代表者が熱い意見を戦わしている様子が放送されています。

 日本でも政見放送がありますが、深夜の討論番組を除けば選挙期間中に各党の意見を聞く機会がないのが残念なところ。ただ討論会は一歩間違えば投票結果に大きく左右されるわけで、その辺りは各党とも心得ているようです。討論に長けた政治家、視聴者受けの良さそうな政治家など、普段余り表にでないような人選をしているのが伺えます。

 各党によって政策が違うので、どの政党に投票すれば良いのか分からない人のために、テレビ局のホームページやアプリでは面白い試みがされています。「まだ移民を受け入れるべきか否か」「車は電気自動車に取って代わるべきか否か」「サマータイムを実施すべきか否か」等の質問に答えることで、どの政党が自分の意見と一番近いか分かるようになっているわけです。

 これはベルギーに限らず隣国のテレビを見ていても同様のようで、これからの EU の行方を左右する選挙に関心が非常に高いのが伺えます。3月末に EU を離脱する予定だったイギリスもまだ EU 加盟国ですから選挙が行われるわけですが、自国の問題で手一杯のようで EU議会選挙に力を入れているようにも見えません。離脱をしてもしなくとも EU議会にとっては悩みの種。双方にとっても態度を明確にして欲しいというのが EU側の思いでしょうか。

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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