【特集】農業に貢献するゴム企業
ダイヤ工業、「アシストスーツ」で農業従事者の軽労化に貢献 ―「健康の先にあるユーザーの笑顔を生み出す企業」をモットーに
ラバーインダストリー 2025-04-11
(2週間限定無料公開)
ダイヤ工業はサポーターやコルセットなどの医療用品の開発・製造・販売を行うメーカー。全国の整骨院のうち約60%に同社の製品が採用されるなど,業界内でトップのシェアを誇る。そうした同社が展開する軽労化製品「アシストスーツ」は,就労者の高齢化等が課題に挙がる農業分野においても,作業負担軽減に繋がるとして期待が大きい。
医療用品メーカーが農業分野に挑戦ーアシストスーツで軽労化に貢献
ダイヤ工業が農業分野に関わりを持つようになったのは, 果樹農家の軽労化を目的としてJA岡山と腕上げアシストスーツ「bonbone MOTT」の共同開発を行ったことがはじまり。 同製品は,ぶどう農家がぶどう棚を剪定する際に腕を持ち上げる動作をサポートするもの。両手を上げ続ける作業が体に与える負担は大きい。同製品は,こうした負担を軽減するアシストスーツとして開発された。現在は,ユーザーの要望を更に取り入れ「DARWING Agerelude」としてフルモデルチェンジをした形で販売を行っている。

DARWING Agerelude
空気圧式人工筋肉を内蔵したアシストスーツ
同社はJA岡山との共同開発以降,アシストスーツの開発をはじめとした軽労化分野に大きく力を入れている。なかでも「DARWING Hakobelude」は中腰姿勢での作業をサポートすることに長けており,白菜などの大きい作物を育てる農家や米農家らの軽労化に貢献する。同社独自開発のゴムチューブ製「空気圧式人工筋肉」が内蔵されており,「通常のゴムであれば引き伸ばしたときに縮もうとする力が働くことを利用し,しゃがんだ姿勢から直立に戻るときにサポート機能を発揮する。一方,人工筋肉は空気圧でゴムチューブを膨らませることにより短くなり,空気を抜くと長くなる。こうした性質を利用し,アシストスーツに身体を預ける形で姿勢をキープできる機能を発揮する」(ダイヤ工業)。

DARWING Hakobelude
装着感を改善した新アシストスーツも新発売
同社は2024年7月から新アシストスーツ「DARWING UT-Rise」を発売した。薄手であることから,衣服感覚で簡単に着用でき,ユニフォームや作業着の中に着用できること,かつ重量物運搬作業などのアシストができることが特徴。
開発するにあたって課題に挙がったのが,衣服としての着心地と,アシストスーツとしてのサポート機能の両立。これらの機能の両立に貢献したのが,同社と協力会社とが共同開発した高反発ゴムだ。
「向こう側が透けて見えるぐらいに薄く,しかし見た目以上にパワーを発揮する素材。この高反発ゴム1本でサポーターやコルセットに使用するゴムの2倍のパワーを持つ」(同)

DARWING UT-Rise
同製品は物流・倉庫業はもちろん,介護や製造業,農業など幅広い分野での活躍を視野に営業活動を進めていく方針。また,海外についても欧州,韓国を中心に展開を進めており,「今年3月には欧州向けアシストスーツ『DARWING』のブランドサイトをオープンした。海外においては,現在『Hakobelude』のみの取り扱いだが,今後『UT-Rise』の展開も進めていきたい」(同)としている。
「健康の先にあるユーザーの笑顔を生み出す企業」をモットーに製品開発に取り組む同社の,農業分野をはじめとした今後の展開に注目したい。
(本記事は月刊ラバーインダストリー10月号にて掲載)
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