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ゴム関連企業も複数社参画

大阪・関西万博、開幕迫る。住友ゴム工業や住友理工が参画する「住友館」が報道向けに内覧会

その他 2025-04-07

 「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、4月13日から10月13日まで開催される「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」。

 大阪・夢洲(ゆめしま)を舞台に、約150の国・地域が参加する同博覧会には様々な最新技術やアイデアが集結する。その中には、ゴム関連企業の知見や製品を活かした取り組みも含まれる。

万博公式キャラクター・ミャクミャクが出迎える


 会場となる夢洲は、大阪湾に造成された人工島。物流や産業拠点として整備された地は、未来都市構想の中核として注目される。アクセス面ではOsaka Metro中央線が延伸し「夢洲駅」が新設された。まさに“未来の入口”として、万博開催を目前に活気づいている。

夢洲駅改札


住友グループ34社が参画する「住友館」

 本紙が注目したいパビリオンの一つが、住友グループ34社による「住友館」だ。

 同館には、住友ゴム工業や住友理工などゴム業界の中核企業も参画。来場者が“森の冒険”として体験する「UNKNOWN FOREST」をはじめ、参加型共創プロジェクト「ミライのタネ」展示や、オフィシャルグッズショップ等を展開するほか、植林体験のイベントも実施する。

住友館外観


 「UNKNOWN FOREST」では、来場者が「ランタン」を手にし、暗く静かな“原始の森”から未来へと向かう物語を歩んでいく。

 ランタンは来場者の動きや環境に応じて色や光を変え、まるで生きているかのように反応。共に進む“パートナー”として森とのつながりを照らし出す。

 「車いすユーザーも回れるよう特別なルートを設定しており、エレベーターも設置している」(西條浩史住友館館長)。

「UNKNOWN FOREST」で使用するランタン


「UNKNOWN FOREST」内では、音声、光などランタンを使った様々な演出を楽しめる


「UNKNOWN FOREST」のクライマックスを演出する“パフォーミングシアター”


 参加型共創プロジェクト「ミライのタネ」の展示は、住友館内の「フォレストギャラリー」で展開される。会場には、住友グループが保有する約700の最先端技術や取り組みを紹介するボックス型モニュメントが並び、各社の実物や資料が展示される。

 各ボックスの側面には、生成AIが各社の技術をもとに創出した未来志向のアイデア「ミライのタネ」を掲載。これら700の技術と取り組みはデータベース化され、万博期間中に公開される特設サイト上で誰でも自由に活用でき、誰でも「ミライのタネ」を創出することが可能となる。

 万博終了後も同データベースはアーカイブとして残され、持続可能な共創の場としての活用が見込まれている。

住友館内「フォレストギャラリー」で展開される「ミライのタネ」展示


関連技術の展示(ボックス左)と、生成AIによる未来志向のアイデア(右)


 住友館は木や土、石などの環境負荷の少ない素材を使用し、会期後はすべての構造材をリユースする予定。万博の理念と呼応し、つくって終わりではない社会づくりへの姿勢を体現している。

木の芯を活用したベンチ


 中村邦晴住友EXPO2025推進委員会委員長は4月2日、報道向け内覧会の冒頭、「住友グループは430年の歴史の中で、自然や環境、命の大切さを学んできた。その想いを未来へつなげる場として「住友館」を設計した。外観は、住友の事業の礎である別子銅山(愛媛県新居浜市)の山並みをイメージしている。

 この住友館は、“住友の森”から切り出した約1,000本の木を活用して建設した。これらは、55年前(1970年)の大阪万博後に植えられた木だ。今回の万博期間中に植林体験も実施し、“住友の森”で新たに1万本の植樹を行う。その成長をWebで配信し、未来を担う子どもたちが植樹を通じて自然や環境の大切さを学ぶ機会としたいと考えている。

 住友館を通じて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを発信していく」と述べた。

中村邦晴住友EXPO2025推進委員会委員長


万博を支える日本のゴム関連企業

 万博では、他にもゴム関連企業が携わっている。たとえば、住友理工の駅ホーム用転落防止ゴムが、夢洲駅に導入された。安全性とバリアフリーを両立する同製品は、今回の万博開催に向けた交通インフラ整備の一翼を担う。

 ほかにも、ニッタは会場内の感染予防対策として、パーテーション型クリーンファンユニット(サーキュリーンシリーズ)24台を提供。会場運営を支える。

 豊田合成は万博を最先端技術・サービスを世界に発信する場と位置づけ、構想段階から協業先各社と積極的に連携。万博期間中、脱炭素やヘルスケア分野に貢献する次世代技術を活かしたペロブスカイト太陽電池応用製品「スマートウェア」や、自動車用ゴム部品の端材をリサイクルした加飾リサイクルクッションマットなど、9つのアイテムを会場内の各所で紹介する。

 開幕までいよいよ1週間を切った大阪・関西万博。今回の万博は、ゴム業界が自らの技術や素材、そして思想で未来社会にどう貢献できるかを問う場でもあると言えるのかもしれない。

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