使用済みの廃棄油を精製、加工、ゴム製品メーカーにサンプル出荷も
イチネンケミカルズ、植物性プロセスオイルを開発
原材料 2023-11-27
ケミカルメーカーのイチネンケミカルズは、環境材料のブランドであるONEバイオシリーズの新製品として、植物性プロセスオイルを開発、ゴム製品メーカー等にサンプル出荷を行っている。
「ONEバイオ プロセスオイル」は、飲食店や社員食堂などから使用済みの廃棄油を回収し、精製、加工したプロセスオイル。通常使用される鉱物油の配合量を削減(リデュース)できるだけでなく、環境配慮を目指した植物由来材料の使用、廃棄油の再利用(リサイクル)に繋がる。回収、精製はスタートアップ企業と共同で進め、粘度や色味、極性調整などの加工はイチネンケミカルズが播磨工場(兵庫県播磨町)で行う。「食料油には様々な油種があるが、最終製品のスペックにはバラつきは出ない」(イチネンケミカルズ)という。
事前にゴムマスターバッチメーカーで行った試験では、一般的なタイヤ配合、工業用品配合での部分置換において、引張強度や伸びなどの一般物性に問題がないことを確認している。「部分置換においては配合、評価、試作のデータ上で問題はなかった。まずは現状のプロセスオイルの部分置換を考えている。今後、配合する割合をどこまで高めていけるかやゴム種による違い等について、サンプル出荷を進めることでユーザーの声を拾い上げながら、さらにチューンアップしていく。より良い製品にしていくためにも、幅広くサンプル出荷を行いたい。サンプル出荷は気軽に問い合わせていただきたい」(同)。
グレードは、汎用性の高い5~6グレードをまずはベースにラインアップしていく。すでに上市されているバイオ由来のプロセスオイルに比べ安価に供給できる。2030年には月産1,000トンを目指す。原料となる食料廃棄油については、食品メーカーの工場からの調達も検討していく。
タイヤ、工業用品それぞれをターゲットに、中でも工業用品へ積極的に展開していきたいという。今後、自動車メーカーなど川下から、サステナブル原材料の使用が強く求められていく中、「サステナブル原材料比率を高めるうえで、非常に有用な製品と考えている。サステナブルの面で工業用品メーカーに貢献できればと考えている」(同)。
イチネンケミカルズはこれまで、ゴム業界に向けフッ素系、シリコーン系、溶剤系の金型離型剤や金型防錆剤、金型洗浄剤を供給してきた。また、環境材料のブランドであるONEバイオシリーズでは、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)といった汎用樹脂向けのトウモロコシ由来のバイオマス添加剤「ONEバイオB-001」やPPにONEバイオB-001を配合したレジン「PP-10B」、「PP-3B」を展開している。
植物性プロセスオイルのサンプル出荷等の問い合わせは、イチネンケミカルズ第三営業部FC営業課(電話03・6414・5609またはFAX03・6414・5621)まで。
■プロセスオイル
ゴムのマスターバッチ製造時に加える油。マスターバッチ混練時に練り込むことで、ゴムの柔軟性・弾性の改良や混練性向上に繋がる。