高い補強効果と軽量化を実現
スギノマシン、CNF/天然ゴムCMBを開発
原材料 2023-07-10
スギノマシンは、天然物由来のセルロースなどを原料としたナノファイバー(BiNFi-s)の開発過程で、自社のセルロースナノファイバー(CNF)を少量添加した天然ゴム(NR)複合体に、他の補強添加剤にはないユニークな補強特性を発見した。この成果の早期実用化を図るため、固形ゴムと容易に複合化できるよう、予めNRに高濃度CNFを配合させた「BiNFi-s/NRマスターバッチ」を開発し、6月からサンプル販売を開始した。
一般的にNRにはフィラー(補強材)としてカーボンブラック(CB)が多く使用されている。CBは石油化学製品で比重が約2と大きいため、それに代わり天然物由来でCBより軽量なCNFを活用する研究開発が盛んに行われてきた。また、元々が水分散液状のCNFは固形ゴムと直接均一に混練するにはノウハウが必要で、予めNRにCNFを混合させたマスターバッチが求められていた。
前述のマスターバッチは、この状況を受けて開発された。固形ゴムとのドライ混練が容易で、特別な工程や機器を用いなくてもCNFが均一分散したゴム複合体が製造可能。また、2種類のマスターバッチの組み合わせや添加量を最適化することで、CNF/ゴム複合体の物性を制御できる。
BiNFi-s/NRマスターバッチと固形NRをドライ混練することで、任意のCNF濃度のNR複合体を製造できる。NRはひずみ(伸び)が300%以下で使用されることが多く、その場合は同ひずみ領域での応力(初期モジュラス)が重要視される。BiNFi-s/NRマスターバッチから製造したNR複合体はCNFがわずか2.5Phrという少量添加にも関わらず、ひずみがおおむね300%以下の領域では、CBを20phr添加したNR複合体よりも高い応力を示す。CNFは、比重が小さくかつ添加量も少ないためNR複合体の軽量化が図れ、石油化学製品の使用量削減とCO2の排出量削減にも貢献する。また、高い弾性を示す指標が確認されており、タイヤでは燃費向上、靴底では快適な歩行・走行が期待できる。