16年年初比で2倍、投機が主因
天然ゴム価格が高騰
原材料 2017-02-13
天然ゴム価格が、高値のまま推移している。足元の価格は16年年初に比べ約2倍。昨秋以降、短期間で急騰した。天然ゴムを多く使用するタイヤメーカーをはじめ、ゴム製品メーカーにとっては大きな収益圧迫要因となりそうだ。
指標となる東京商品取引所の足元の先物価格は、キログラムあたり300円を超えている。16年年初が約150円だったことから見ると、約2倍に跳ね上がっている。
天然ゴムの価格高騰について、コモディティ市場に詳しいマーケットエッジの小菅努代表取締役は「上海ゴム相場主導で高騰している。主因は投機。中国の新車販売台数増やそれに伴うタイヤ需要増の思惑、また17年年初は産地の天候不順といった理由付けもあるだろうが、投機目的の買いによって急騰している。
中国の取引所では、天然ゴムの在庫が増加してきているが、価格は下がらない。従来は在庫が増えると価格が下がるため、今は在庫が材料視されていないということ。そのあたりからも、投機ということがうかがえる」と話す。
気になるのは、今後の価格見通し。小菅氏は「投機筋の動向にもよるが、足元の300円台から大きく下落することは考えにくい。一方で、上値の天井が何円というのはないだろう。価格が上がりすぎて、ゴム製品メーカーが買えなくなった時が天井ではないか」とみる。
需給面から見ても、大幅な下落には繋がりそうにない。天然ゴムは今後、本格的なウインタリング(落葉期)に入り供給の先細りが懸念されることに加え、「世界の需給環境そのものが段々とタイトになってきており、今年は若干の供給不足になる」(小菅氏)と見込まれているためだ。
天然ゴムは、作付けしてから収穫するまでに何年もかかるため、供給サイドとしても価格が上昇したからといってすぐに供給を増やすことはできない。需要がよほど落ち込めば別だろうが、現状では需給面から価格が急落する見込みはない。
ブタジエン、原油、ナフサを中心とした原料価格の高騰による合成ゴム等の値上げが相次いでいる。天然ゴム、合成ゴムなど原材料価格は、ゴム製品メーカーにとって収益に直結する大きな要因となる。今後、ゴム製品の値上げが打ち出されるのか。その動向が注目される。
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