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NEDO、産総研、ADMAT、横浜ゴムが共同で

バイオマス由来のBR用いタイヤを試作

原材料 2021-08-12

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、産業技術総合研究所(産総研)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、横浜ゴムと共同でバイオマス(生物由来)由来のブタジエンゴム(BR)を用いたタイヤを試作した。バイオマスから生成したブタジエンを用いタイヤを生産する技術を確立することで、石油への依存を低減し、CO2削減と持続可能な原料調達の促進が期待される。

 NEDOは、「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」(超超PJ)で計算・プロセス・計測の三位一体による有機・高分子系機能性材料の高速開発に取り組んでおり、その一環として産総研、ADMAT、横浜ゴムと共同で、バイオエタノールからブタジエンを高速かつ効率的に合成する技術開発に取り組んでいる。2019年には触媒の配合状態や反応条件に関する大量のデータを取得・解析するハイスループットシステムとデータ駆動型学習、触媒インフォマティクスの活用により、当時では世界最高のブタジエンの収率を持つ触媒システムを開発し、生成したブタジエンからBRの合成に成功。さらに2020年には、より最適な触媒を検討し、2019年比で1.5倍のブタジエン収率を持つ世界最高の触媒システムの開発に成功した。

 今回は、バイオエタノール処理量を約500倍にした大型触媒反応装置を設計・製作してバイオエタノールからのブタジエン大量合成を検討、反応条件の最適化や生成したブタジエンの捕集方法の改良により、約20キログラムのブタジエンの製造に成功。このブタジエンを蒸留精製により高純度化した後、重合反応によって得られたBRを原料に、自動車用タイヤの試作に成功した。大型触媒反応装置の設計・製作およびブタジエンの大量合成は産総研が、生成ブタジエンの蒸留による高純度化はADMATが、高純度ブタジエンの重合によるゴム化およびそれを原料にしたタイヤ試作は横浜ゴムが行った。

 試作したのはグランドツーリングタイヤ「BluEarth-GT AE51」、サイズは185/60R15。石油由来のゴムで製作されていた同タイヤのキャップトレッドとサイドウォールを、全てバイオエタノール由来のBRと天然ゴムに置き換え、両部分のゴムは持続可能なゴム材料のみで構成した。試作タイヤは、従来の石油由来のゴムを使用した時と同等の材料性能を有している。

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