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名古屋大学と日本ゼオンが共同で開発

世界トップクラスの高靭性示すTPE

原材料 2021-06-11

 世界トップクラスの高靭性(破壊されにくさの程度、外力に対する材料の粘り強さ)を示す熱可塑性エラストマー(TPE)の研究成果が、5月21日に開催された日本ゴム協会の年次大会で発表された。これは、名古屋大学大学院工学研究科有機・高分子化学専攻(未来社会創造機構マテリアルイノベーション研究所兼務)の野呂篤史講師らの研究グループと日本ゼオンが共同研究したもので、「非共有結合性架橋点の導入による熱可塑性エラストマーの強靭化」と題し発表された。

SISの化学修飾によるiSISの合成と分子鎖


 野呂氏ら研究グループと日本ゼオンは、スチレン系TPEの1つであるスチレン-イソプレンブロック共重合体(SIS)のイソプレン部に化学修飾を施し、部分的にイオン性官能基を導入した新たなTPEであるiSISを合成した。引張試験の結果では、引張強度、タフネス(破断までに要するエネルギー)が、官能基導入前のSISではそれぞれ9.1MPa、112MJ/㎥だったのに対し、官能基導入後のiSISでは43.1MPa、480MJ/㎥と、従来型のSISに比べ4倍以上の値を示した。イオン対同士が凝集し比較的強いイオン-イオン間の相互作用が生じることで、強靭化している。

自動車ボディ関連部材などでの利用が期待

 タフネスに関しては、現在までに学術誌で報告されているゴム・TPEの中で最も高い値を示している。iSISは製造工程も比較的容易なため、強靭さが求められる自動車ボディ関連部材、その他材料での利用が期待される。

 TPEは内装表皮、エアバッグカバー、ウェザストリップ、ホースや絶縁カバーなど主に自動車の内装・外装部材として利用されており、世界の市場規模は年2兆円と言われている。軽量で柔軟性、伸縮性、加工性などに優れるが、強度や靭性といった観点では劣るため、これまでは自動車ボディ関連部材などへの適用は限定的だった。

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