合成ゴム原料をバイオマスから生成へ
横浜ゴム、持続可能な原料調達に向けた取り組み推進
会員限定 原材料 2019-11-12
横浜ゴムが、持続可能な原料調達に向けた取り組みを進めている。合成ゴム原料であるイソプレンやブタジエンをバイオマスから生成する技術を確立した。こうした動きは、石油への依存度低減、二酸化炭素削減などに貢献することが期待される。
「タイヤメーカーとして、持続可能な社会への貢献を考えた場合、まず取り組まなければならないことはタイヤそのものの性能向上だ」と同社の研究先行開発本部に所属し、高分子学会フェローでもある日座操顧問は話す。例えば、タイヤの耐摩耗性や低燃費性を向上したり、タイヤそのものを軽量化することは、使用段階での貢献度が高く、「取り組みの最優先になる」(日座氏)という。それを踏まえた上で、横浜ゴムが持続可能な原料調達に取り組む理由は、「さらに何ができるのかと考えた時、原材料に注目した」(同)ためだ。
タイヤの原材料の中で最も使用する天然ゴムに関しては、2018年に「持続可能な天然ゴムの調達方針」を策定。また、タイの大学と共同研究し、バイオ技術を活かした天然ゴムの研究を進めている。
一方の合成ゴムでは、その原料をバイオマスから生成する技術を確立。生成した原料を用いて、実際に重合し合成ゴムを生産した。
イソプレンゴムの原料となるイソプレンのバイオマスからの生成技術は、理化学研究所(理研)、日本ゼオンと共同で2018年に開発した。3者は2013年から共同研究を進め、2015年にはコンピュータで人工代謝反応を新規に設計する技術である「in silico 代謝設計技術」を用い、コンピュータ内でイソプレンの新規合成法を発見した。
2018年に開発した技術は、これを進化させたものだ。世界初の新たな人工経路の構築と高活性酵素を作成し、これらを本来イソプレン生成能を持たない大腸菌に導入しイソプレン生成能を持たせることで、出発原料となるバイオマスの糖からイソプレンの生成までを一貫して行うことに成功した。自然界では、糖から生成した中間物質であるメバロン酸からイソプレンを生成するのに5段階の反応が必要となるが、構築した人工経路を用いると2段階で行うことができる。
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