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18年末めどにサウジアラムコと売買契約

ランクセス、アランセオの全保有株式を売却

原材料 2018-08-10

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスは8月8日、サウジアラビア国営石油会社のサウジアラムコ社と2016年に合弁で設立した合成ゴム会社アランセオの全保有株式50%をサウジアラムコ社に売却する売買契約を締結した。両社は18年末をめどに売買を完了する予定。事業譲渡は関係各国の独占禁止法規制当局の承認を前提とし、同時に従業員の代表者への情報提供と協議が進められることになる。

 合弁会社アランセオの時価総額は30億ユーロ。ランクセスは、債務およびその他の財務上の負債を控除後、全保有株式50%の売却額となる約14億ユーロを現金で受け取る見込みで、この売却で得る資金で自社の財務基盤の強化と純有利子負債を削減する。当初、ランクセスとサウジアラムコ社では、2021年まで売却禁止期間を設定し合意していた。

 今回の事業譲渡について、ランクセスのマティアス・ツァハトCEOは「新たに重要なマイルストーンとなる戦略的な事業変革を当初の予定より早期に完了させることができ、中規模の特殊化学品市場において、ランクセスのリーディングプレーヤーとしてのポジションをより強化し同時に、一層の成長を目指していく」と狙いを語った。

 アランセオの本社はオランダ・マーストリヒトで、17年度の売上高は約32億ユーロを達成、従業員数約3,800人で9カ国に20の製造拠点を有している。主な事業は、合成ゴムの開発・製造およびマーケティングで、自動車・タイヤ産業、建設業界、石油・ガス産業などの用途に使用されている。ランクセスとサウジアラムコ社との合併を強みに、合成ゴムの原材料から製品にいたる一貫したバリューチェーンを築いてきた。アランセオの合成ゴム製造拠点は日本の場合、現状ランクセス日本法人がアランセオの販売代理店業務を担い、製品の供給やサービスを担当している。

 ランクセスは、16年に設立した合弁会社アランセオに合成ゴム事業を移管。その後、特殊化学品の中規模市場での成長に注力し、同分野でさまざまな買収を進めてきた。17年4月に完了した難燃剤や潤滑油添加剤の世界有数のサプライヤーである米国のケムチュラ社の総額24億ユーロの買収は、ランクセスにとって過去最大規模のものとなっている。

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