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【特集】ロール・ブランケット

尾髙ゴム工業、16年度 製鉄用牽引し増収増益

工業用品 2017-06-27

 尾髙ゴム工業の16年度(3月期)業績は前期比5%弱の増収増益となった。

 売り上げの7割、市場シェアの7割強を占める主力の製鉄用ロールは、鉄鋼メーカーの設備投資意欲が旺盛で夏の終わり頃まで好調を持続。下期に入り一時需要は停滞したものの、年度末に向けて再び盛り返したことで増収を確保した。繊維向けロールは「世界情勢の不透明感から海外のプラント案件の建設計画が先送りされている影響もあり」(同社)、ほぼ前期並みの水準。物流向けは微減収となったが、「製鉄向けが業績を押し上げたことで全体では当初の計画を達成できた」(同)としている。

 製鉄向けは鉄鋼業界の再編・統合による製造ラインの減少などで厳しい状況に置かれているが、「統合した高効率ラインの稼働時間を増やし、スピードを上げることでさらに生産性を高める傾向があり、長寿命化を実現する耐摩耗性に優れた製品へのニーズは依然として大きい」(同)状況にある。

ハイクラッチUのエステル系(手前)とエーテル系


 同社ではこれらの要求を満たす「ハイクラッチU(ウレタン)」や「タフエースシリーズ」などを中心に拡販することで販売が伸長。特に「ハイクラッチU」では、ウレタンゴム素材に耐油性を有するエステル系のほか、耐水性を有するエーテル系を揃え、展開の幅を広げていたことも営業面で奏功した。

 同社では2024年に創業100周年を迎える。それに向けて売り上げ目標を定めており、17年度は前期比6-7%増収を計画。製鉄用のさらなるシェア拡大を図るとともに、フィルムなど他業界への展開も進めていく方針だ。

 新製品ではウレタン以上の強度と耐エッジ摩耗性を実現する新素材の“ガッツ”ラバーに特に期待している。製鉄工程の中でも、これまで同社の製品が使用されていない箇所を対象に採用を進めており、「現在は1年間のテスト期間を経て高評価を獲得、本格的な採用へと繋がりつつある。この実績を元に他の製鉄所へ水平展開することで採用を拡げていきたい」(同)考えだ。

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