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ものづくり力-魅力あるゴム企業

太陽興業、理化学用シリコーン製品専業、創業以来衰えぬ開発意欲

工業用品 2017-06-20

河内洋輔社長


 太陽興業は、昭和28年創業の医療・理化学用シリコーンゴム製品の専業メーカー。創業間もない頃は、ペニシリン容器のゴム栓やかつての血液銀行で使用される輸血用保存血液ビンの密封ゴム栓などを製造していたが、現在は、シリコーンゴム栓やシリコーンスポイト、シリコーン安全ピペッターなどを主力に製造・販売している。

 現在は汎用的な製品として流通している「シリコーンスポイト」や「シリコーン安全ピペッター」は、もともとは同社が開発したもの。

 同社の河内洋輔社長によると「スポイトは以前は天然ゴム製だったが、ベタついて扱いづらいなどの問題があった。そこで衛生的で安全性の高いシリコーンゴムの採用を思いついた。開発までに苦労した上、発売後2-3年はまったく売れなかった。その後、米国の研究者からの注文が増え、国内でも販売が拡大した。しかし特許を取得しなかったため十数社が類似品を販売、価格競争が激化したことで、ほとんどのメーカーが撤退し、現在では当社が市場の過半を占めている」という。

 同社のモットーは「常に新しい製品・新しい技術を開発する」こと。河内社長はもともと技術畑で「新しいモノを作るのが好き」。最近では、微生物の培養に使用する「セラミック培養栓」を開発。セラミック素材を使用することで、従来のシリコーンゴム栓に比べ培養精度を高めている。新製品は、もちろん国内・海外(米国)で特許を取得している。

 また「大手企業の歯車にはならず、小さくとも独立独歩の企業である」ことも河内社長の信条だ。「当社は大手企業との大口取引はない。小口の取引が中心だが、約300社もの企業と取引関係にある。大手との取引では単なる歯車、単なる部品屋になってしまう。小さくても独自の製品開発をできるメーカーでありたい」という。

 16年12月期は販売が堅調で前期比約10%増収。今期も順調で、前期並みの売上高を見込む。しかし原材料高の影響で「利益面は少し厳しくなる」(河内社長)との見通しだ。

 ■太陽興業
 本社・工場=東京都荒川区西日暮里6-63-4◇設立=昭和28年10月29日◇資本金=1,000万円◇従業員11人

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