PAGE TOP

廃ゴム使用率約20%のサステナブル製品

𠮷野ゴム工業、「廃ゴムチップ入り桟」を発売

工業用品 2025-03-24

 𠮷野ゴム工業は、環境に配慮したサステナブルな新製品として「廃ゴムチップ入り桟」を昨秋開発、このほど本格発売を開始した。桟の中心部に廃ゴムを、その周囲に新ゴムを配した2層構造で、廃ゴム使用率は約20%。耐久性や強度は従来のゴム製桟と遜色はない。

「廃ゴムチップ入り桟」の断面。桟の中心部が廃ゴムチップ


 同社では以前から、コンベヤベルトの加工工程で発生するバリや、ユーザーから回収された古いベルトを、単に廃棄するのではなく「何か活用できないか」と模索していた。

 そこでこうしたゴム廃材を、廃ゴムチップにして、コンベヤベルトの部材として活用することを考えた。しかしベルトの芯体として使用されている帆布が邪魔をしてゴムチップ化することが困難だったため、今回の新製品には廃タイヤゴムチップを使用した。「今回は廃タイヤを使用したが、将来的にはバリや廃棄ベルトによるゴムチップで製造したいと考えている」(𠮷野ゴム工業)。

 今回の製品開発でネックとなったのが廃ゴムチップをシート状にした、桟の芯として使用するゴム材と、外層となる新ゴムとの接着だ。

 「加硫ゴムと未加硫ゴムとの接着なので、加硫ゴム同士、未加硫ゴム同士の接着に比べ技術的に難しい。試作当初は何度も失敗したが、製造スタッフと技術スタッフがアイデアを持ち込んで製品化することができた」(同)という。

 廃ゴムチップ入り桟は、生ゴムと廃ゴムチップ入りシートの剥離試験もクリアし強度的にも問題がない。またユーザーでのテスト導入では、実機で1年間問題なく使用することができたという。

 現在のところ対応可能な桟のサイズは、高さは45ミリ以上、厚みは20ミリ以上としている。高さや厚みについては、さらに低く薄くできるように廃ゴムチップも含めて試作中という。

 同社では、SDGsの観点から、今後もこうした環境に配慮した製品を“サステナ製品”としてシリーズ化して市場展開していく。

人気連載

  • マーケット
  • ゴム業界の常識
  • 海から考えるカーボンニュートラル
  • つたえること・つたわるもの
  • ベルギー
  • 気になったので聞いてみた
  • とある市場の天然ゴム先物