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化成品は第一次産業向けに需要開拓

【インタビュー】第一ゴム社長浜村稔氏、ゴム長靴は国内生産にこだわる

工業用品 2017-06-06


 北海道を代表するゴム製造会社、第一ゴム(本社・小樽市奥沢、資本金5,000万円、従業員80人)は2月25日付で浜村光久社長(70)に代わって実弟の浜村稔氏(63)が4代目の新社長に就任した。光久氏は代表権のある会長に就任。稔新社長に道内の景気動向や今後の経営戦略などを聞いた。

 ■道内景気
 当社はゴム・合成樹脂製品の製造販売を行っており、特に消費財であるゴム長靴はメイン商品のひとつだ。そのゴム長靴を通してみると、個人消費の低迷が長引いており、売上数字的にも決して良くない。道内の景況感は改善傾向が出ているといわれるが、実感はない。これはゴム長靴に限らず、すべての商品にいえることだ。

 ■業績の推移
 2016年12月期の売上高は約10億円で、ゴム長靴と化成品が50%ずつ占める。化成品は、射出成形による住宅関連部材や医療用容器、食品容器などのプラスチック製品が中心で、子会社の第一化工(本社・小樽市奥沢、資本金1,000万円、浜村稔社長、従業員30人)が製造している。

 ■ゴム長靴の現状
 戦前は道内に同業者が50社ほどあったが、今は淘汰されてゴム長靴メーカーは当社を含めて数社となった。北海道という土地柄か、作業・農作業用、漁業用、雪寒地用のゴム長靴としての需要はあるものの、近年は消費者ニーズの多様化や人口減、また若い人がゴム長靴を履かなくなったという理由から、需要はジリ貧傾向にある。

 そうした環境の中で、当社は市場ニーズに合わせてつくるものを少しずつ変えていくなど、試行錯誤を続けてきた。そしてたどり着いたのが、小樽の自社工場での国内生産にこだわることだった。現在は“メイド・イン・奥沢”が当社商品のウリであり、市場からも評価されている。これにより、アパレル向けにOEM供給の話がくるようにもなっている。

 その結果、ゴム長靴はフル生産が続いている。

 ■第一化工の現状
 第一化工は、3DCADシステムを用いた製品設計や、成形から2次加工までの生産を一貫して手がけている。製品の9割はOEMなので、射出成形用の金型はお客の費用で調達している。ロットが小さく、精度がシビアに要求されるが、中国ではできないものを積極的に手がけるようにしている。

 現在、射出成形機は80トンの小型機から860トンの大型機まで15台が24時間対応で稼働している。

 ■今後の経営方針と課題
 ゴム長靴は今の国内生産を維持しながら、お客から必要とされる商品をつくるために、つくり方や売り方などを当社の方から提案していきたいと考えている。化成品事業は農業や漁業、インフラなど第一次産業向けの需要開拓に力を入れていきたい。

 課題は人手不足と設備の老朽化が進んでいることだ。人材については、履物は5年前から若い人を意識的に採用しており、化成品では組立・検査工程は女性パートを増やしているが、いずれにしても工場で働く人の募集が年々難しくなっているのは確かだ。

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