介護・福祉関連事業を強化
イノアックコーポレーション、アジア圏で「すみれ」ブランド展開
工業用品 2017-06-01
イノアックコーポレーションでは介護福祉関連製品を含むコンシューマー事業を強化、東南アジアを中心とするアジア圏でナショナルブランドの販売をスタートしている。「高齢化社会で先を行く日本のニーズを取り込んだ製品は、後にアジア圏でも大きな需要が見込める」と語るグローバル技術本部リビング製品開発部の太田胆斗部長に現状や今後の方針について聞いた。
■介護福祉市場への参入
介護保険制度が施行された2000年から市場に本格参入している。主力製品はウレタンフォームを使用したマットレスで、そのほかクッション、低床ソフトベッドなどを Smile(スマイル)をローマ字読みした「すみれ」ブランドで展開している。ウレタンフォームメーカーとして、自社で素材開発できるのが最大の強み。400種類以上のウレタン素材を持っているため、ユーザーの希望に応じて様々な製品を開発・提案できる。
ウレタンフォームの製造拠点として海外では中国(2工場)、インドネシア(2工場)、タイ(2工場)、ベトナム、スリランカ、米国(3工場)の計11工場、国内では北海道、山梨、愛知(2工場)、広島、福岡の計6工場を有しグローバル展開している。
■グローバル展開を強化
介護福祉関連製品を含むコンシューマー(家具・寝具などのインテリアや日常用品を扱う)事業を強化する方針。その一環として4月1日付で、グローバル技術本部内にリビング製品開発部を新設、国内はもとより東南アジアを中心としたアジア圏での展開をさらに強化していく方針だ。海外ではメーカーへの素材(ウレタンフォーム)供給が主だったが、各拠点で「すみれ」などのナショナルブランド製品の展開をスタートさせ、海外での販売増と当社の知名度向上を目指す。
■介護福祉事業強化の目的
超少子高齢社会への対応と社会貢献を目的としている。日本では2025年に3人に1人が65歳以上になると言われているが、賃金体系や少子化の影響もあり、今後介護の担い手はますます不足し、介護をサポートする製品の必要性や需要は増していく※。
また東南アジアなどのアジア圏でも今後高齢化社会の進行が予測されており、ハイスペックな日本の介護福祉関連製品の注目度は上昇している。高齢化社会で先を進む日本のニーズを取り込み開発した製品は、後にアジア圏でも大きな需要が見込めると考えている。
※13年の介護福祉・関連製品の市場規模は2,726億円、20年には2,997億円と言われている。
■「すみれ」ブランド
ウレタンフォームの特性が活かせるマットレスがメイン。なかでも産学共同で開発した「リバーシブルPRO(プロ)」は好評だ。同製品は低反発面と高反発面のリバーシブル仕様で、高反発面は寝返り妨げない適度な硬さを持つ要介護度が低い人向け、低反発面は体の沈みすぎを防ぎながら長時間体圧を分散する要介護度が高い人向けと、裏返すだけで幅広い身体状況に対応することができる。病院・施設を中心に累計2万枚以上の販売実績がある。
現在は同製品のコンセプトを継承した進化版「リバーシブルPRO2」の開発を進めており、9月27-29日に東京ビッグサイトで開催される「第44回国際福祉機器展」で紹介する予定だ。
■不動産を高齢者用施設へ
当社不動産の高齢者用施設への転換を積極的に進めている。15年には札幌、16年4月には名古屋にクリニック付高齢者住宅(通称:サ高住)をスタート、10月には当社発祥の地(名古屋市熱田区幡野町)に1階部分にクリニック、2、3階にサ高住、敷地内にマンションも併設された地域包括ケアの実践ケースもオープンさせた。
これまでお世話になっている地域の方々との繋がりを今まで以上に大切にすることはもちろん、それらの施設・現場で起こっている課題をいち早く掴み、より良い製品の開発を進めるなど、現場に密着したモノヅクリのマインドをこれからも持続していく。
また、上記高齢者住宅では当社の製品とカタログが置いてあるモデルルームがあり、住人が自由に製品を試すことができる環境を整えている。
■今後の開発方針
これまでは、主に介護が必要な方の負担を軽減させるための製品を開発・販売してきたが、近年は、これらに加えて、高齢者の方だけでなく、様々な障害をもった方が如何に、より楽しく活発な社会生活をおくるかをコンセプトに、自立支援型製品の開発も一つの柱として推進している。まずは、転倒予防・歩行訓練用の「ロコモマット」や、自立支援型のマットレス、車いすクッションなど、施設・大学等との産学共同で裏付けされた新製品群を、秋の「福祉機器展」に出品する計画だ。
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