インテグリカルチャーと共同で、細胞農業向けに
住友理工、独自素材を用いた高効率細胞培養バッグを共同開発
工業用品 2024-11-12
住友理工は、インテグリカルチャーと共同で細胞農業向けの細胞培養バッグを開発しているが、今回、複数の特許出願が完了し、11月19~21日にシンガポールのSands Expo & Convention Centreで開催される「Agri―Food Tech EXPO ASIA 2024」へ同開発品を出展する。
また、インテグリカルチャーが運営する細胞農業専用のBtoBマーケットプレイス「勝手場」での試験販売を開始する。
細胞農業は、食料や医療、化粧品、素材など幅広い産業への展開が期待されているバイオ技術。特に食料分野では、2020年にシンガポールで培養肉の製造・販売承認が下りて以降、2023年に米国、2024年にはイスラエルでも承認されるなど、世界中で産業化に向けた動きが活発になっている。
住友理工は、細胞農業の代表的なスタートアップであるインテグリカルチャーが主宰する「CulNet」に2022年から参画し、細胞農業の標準サプライチェーン構築に向けて共創活動を進めている。同コンソーシアム内で住友理工が開発を担当する培養工程では、従来、ガス透過性の低いプラスチックやガラス製の容器が使用されてきたが、細胞増殖速度が遅く、煩雑な作業を伴うことが大規模化に向けた課題となっていた。
これらの課題を解決すべく、住友理工はガス透過性の高い独自素材と精密成型技術を生かした細胞培養バッグの開発に着手。従来の容器では、培地を容器容量の40%程度までしか入れられなかったことに対して、開発品ではバッグ容量の80%以上の培地を入れられるため、高収量・高密度な培養が可能になり、培地交換頻度も低減できる。
また、ガス供給ポートや酸素供給装置が不要なシンプルな構成になっているため、培養工程の省スペース化や作業効率の大幅改善によるユーザビリティの向上が期待できる。
今回、エントリーユーザー向けの200mLタイプと、将来的にスケールアップを目指すユーザー向けの1,000mLタイプの2製品を開発し、インテグリカルチャーでのアヒル肝臓由来細胞を用いた評価において、従来と比べて2倍の収量となる4グラムの「細胞性食品」の作出に成功した。
現在、コンソーシアム参画企業とともに同製品を用いた連携をスタートしており、今後はバッグの大容量化を進め、小~大スケールまでシームレスな培養プロセスを構築していく。
また、今回の共同開発成果を「Agri―Food Tech EXPO ASIA 2024」の培養肉パビリオンに展示する。細胞農業を含めたフードテックの開発や社会実装が先行しているシンガポールにおいて、連携パートナーの探索を進め、海外での事業展開を目指すとともに、インテグリカルチャーが運営する「勝手場」で試験販売を開始し、顧客開拓を進めていく。
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