プライマー処理の必要がなく工程短縮化を実現
ナガセケムテックス、加硫後のジエン系ゴムと金属のフィルム接着剤を開発
工業用品 2024-01-30
ナガセケムテックス(本社・大阪府大阪市、藤井悟社長)は加硫後の天然ゴムやブタジエンゴム(BR)、低ニトリルゴム(NBR)などジエン系ゴムと金属との接着を可能にした「加硫後ゴム用フィルム接着剤」を開発した。
同接着剤は、液状タイプの加硫接着剤では必要としていたプライマー処理の必要がなく工程の短縮化が図れる。さらに環境負荷物質である揮発性有機化合物を含まず人、環境にも優しい「エコフレンドリーな接着剤としても訴求していく」(同社機能樹脂事業部製品開発部電気構造材料課構造チーム)考えだ。
「加硫後ゴム用フィルム接着剤」は免震ゴムをはじめスタビライザーバー、ブッシュなど大型部品の製造に適している。フィルムにタック性があり、常温での貼り付けも可能だが、加熱硬化型エポキシ樹脂が接着剤の主成分となるため加熱による硬化反応が必要でオーブンかプレスで接着し完成となる。「フィルム接着剤は大きな圧力をかける必要はないものの、既存設備で加熱ができるプレス機を利用して硬化反応をさせることができる」(同)。
「加硫後ゴム用フィルム接着剤」は、液状タイプの加硫接着剤に比べ製品製造工程での効率化にも有効だ。液状タイプの加硫接着剤の場合はプライマーと接着剤(オーバーコート剤)の2液型となり、それぞれに有機溶剤を含有しているものが多く、揮発・乾燥に時間がかかる。流れとしても①プライマーを塗る工程②乾燥とさらに接着剤を塗る工程③乾燥――と、工程ごとに待ち時間を要するが、フィルムの場合は簡単に貼れ、そのまま被着体を重ねて加熱するため時間とコスト低減が図れる。また、「フィルム状であることから厚みが均一で高品質な接着層が形成できる。さらに加硫度も均一になり品質の向上が図れる」(同)。
近年、製造業ではVOCフリーや工程全体でのエネルギー消費削減に向けての対応を急いでいるが、ナガセケムテックスでは「加硫後ゴム用フィルム接着剤はそれらニーズに合致する製品」として市場開拓に努めている。