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技術伝承、人材育成が課題に

【インタビュー】大機ゴム工業社長村山智正氏&取締役営業部長山田将司氏、ゴムライニングは業界再編が必要な時期に

工業用品 2017-04-24

村山智正社長


山田将司取締役営業部長

 
 大機ゴム工業は1930年(昭和5年)に国内初のゴムライニングメーカーとして創業し、以来、つねに業界をリードしてきた。そこで同社の村山智正社長と山田将司取締役営業部長に業績状況や、ライニング業界の現況と今後の課題についてインタビューした。

 ■17年3月期業績見通し
 売上高は前期比20%増の見込み。主力の水処理、電力、大気汚染防止用途が好調だった。その他の分野も総じて良かったようだ。利益も前期実績を上回った。年間を通して工場操業度が高水準で安定していたことが大きい。人件費が高騰しているので、操業度に波があると収益が悪化する。収益を確保するには工場の稼働をいかに平準化するかが重要だ。当社では3年連続でベースアップを実施しているので、その分、人件費比率が高くなっている。

 ■ゴムライニング市場の状況
 2013年から4年間、ゴムライニングの生産量はほぼ横ばいで推移していて、今後も大きな伸びは期待できず、横ばい状態が続くと見ている。国内に化学プラントなどが新設されていた1970年代には、ゴムライニングの生産量も3,000トンを超えていた。その後、プラントの統廃合や製造業の海外転出、他の耐食材料の採用拡大などにより、ゴムライニングの需要も減少し市場が縮小した。市場が縮小したことで競争が激化しゴムライニング事業の収益低下が深刻になっている。
 それに伴い、ゴムライニングから撤退する企業が増え、日本ゴム工業会ライニング分科会加盟会社は、1970年代の13社から、現在は5社に減少している。またライニングメーカーが、収益を確保するためにライニング以外のゴム製品事業に力を入れ、多角化に向かっている。日本のゴムライニングの火を消さないためには、新たな業界再編が必要な時期ではないかと考えている。

 ■事業概要
 当社は1930年にゴムライニングを生産・施工し始めた。以来ゴムライニング専業としてさまざまなライニングを行い、今年で87年になる。ゴムライニングは、伝統的な耐食材料であるが、信頼性という点に加え、再生可能資源である天然ゴムが主力のエコマテリアルである点から、今後ともその重要性は変らない。
 当社は水処理や電力を得意分野にしている。電力は高度な安全性が求められるので実績が重視される。当社のゴムライニングの信頼性が評価され、重電メーカーから長年にわたり注文を得ている。
 5年ほど前までは、工場施工7:現地施工3の割合であったが、最近は工場6に対し、現地4、将来的には工場と現地の比率が逆転すると考えている。新規案件が少なく工場施工が減っているので、現地での機器補修が増えている。今後補修需要への対応を強化していく必要がある。

 ■中期経営計画
 今期17年度を初年度とする3カ年の新中期経営計画を親会社の日立造船が策定している。当社もそれに沿って事業展開していくが、国内市場は横ばいの見込みのため、この3カ年は売上高、利益とも横ばいの計画だ。
 国内需要が低迷する中で、海外での販売拡大を目指すメーカーもあるが、当社では無理な海外展開は行わない。国内工場(本社・柏工場)を維持することが、従業員の雇用を確保する点からも重要だと考えている。海外については「コストアップになっても大機ゴムの技術が必要だ」というお客さんには、当社品質を実現できるパートナーを探して対応するつもりだ。

 ■中国に技術指導
 1987年に中国政府の要請で自然加硫クロロプレンゴムライニングの技術指導のため、中国に当社から技術員を派遣した。私(村山社長)も指導のため何回か中国に行った。その時指導した中国側技術者が現在も現地で活躍している。技術指導が縁で、中国ゴム工業協会のトップとは“老朋友”の間柄にあり、昨年、同工業協会の視察団が来日した際には、当社にもおいでいただいた。その折に、中国製ゴムライニングの品質向上を要請するなど、業界全体の先行きを危惧した活動も行っている。

 ■人材確保と技術の伝承
 人材確保は非常に難しくなっている。ゴム業界は3k職場というイメージがあり、人材確保が難しいが、ゴムライニングも例外ではない。現在、日本にはライニング工が100人もいないと思う。技術を伝承し優れたライニング工を育成していかなければ、日本のゴムライニングが立ち行かなくなってしまうだろう。業界を挙げて、こうした課題に取り組む必要がある。

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