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耐地震動2倍、低層建築にも

東京都市大が新型免震構造用積層ゴムを開発

工業用品 2016-06-06

新型免震構造用積層ゴム支承

新型免震構造用積層ゴム支承


 東京都市大学は5月24日、工学部(東京都世田谷区)建築学科の西村功教授ら研究チームが、従来品と比較してほぼ2倍の地震動に耐える新型免震構造用積層ゴム支承の開発に成功したと発表した。現在、免震部材として2年後の実用化を目指し、メーカーと共同開発を進めている。

 今回発表した積層ゴム支承は、従来品に比べ変形性能を大幅に向上させている点が特長。それにより大変形領域でも支持能力を失う“座屈”を起こさないため、免震機能を維持しながらサイズの小型化が可能になる。鉛直軸力200トン、水平変形能力500ミリ、固有周期3秒の目標性能を満たしており、従来比ほぼ2倍の地震動に耐え得る性能を実現した。

 技術的には、ソリトン波と呼ばれる安定な非線形波動の方程式と積層ゴムの非線形座屈方程式が一致する点に着目。大変形時の安定条件を数理的に導き応用した。

 積層ゴム支承は、大地震や長周期地震に対応するためにさらなる大型化が必要になるが、重量が軽い中小規模の建築物には直径の小さな積層ゴム支承を用いなければならず、大地震に耐え得る免震構造を実現する場合の技術的課題となっていた。

 今回の積層ゴム支承はこの課題を解消するために開発されたもので、東京都市大学では巨大地震の発生時にも機能維持が求められ、防災拠点ともなる小中学校や病院、消防公共施設など比較的低層の建築物を対象に展開していきたいとしている。

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