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サービタイゼーションの本格化目指す

【インタビュー】バンドー化学・玉垣嘉久代表取締役専務、バンドー・I・C・Sが発足

工業用品 2017-03-27


 バンドー化学の2017年3月期の業績は、上期は対前年比マイナス基調で推移したが、下期は特に1月以降回復傾向にあると言う。EV化などで、主力の自動車用ベルトの減少が懸念されるなか、バンドー化学が目指すところはどこか。玉垣嘉久代表取締役専務執行役員に聞いた。(玉垣氏は3月31日付で代表取締役を退任、4月1日付で取締役となり、バンドー・I・C・S会長に就任する)

 〈今期業績〉
 上期は低調に推移したが、下期は回復傾向を見せており各事業ともに1桁減程度に収まりそうな見通しだ。海外はアセアン地域を中心に主力の自動車、産業資材ともに堅調だったが、国内は自動車、産業資材ともに売上高が減少した。コンベヤは受注にあたって採算を重視したので売り上げは落ちたが利益は改善した。樹脂ベルトは順調に推移した。急傾斜コンベヤやパイプコンベヤなどの特長品は比較的堅調だったが、今期は大型物件があまり無かったのが響いた。

 〈産業資材〉
 新製品として「バンドーワイパーエッジEX」に注目している。工作機械には加工時に発生する切り粉やクーラントが隙間から漏れないように様々なシールブレードが使用されている。最近ではクーラントの多様化、変化によりシールブレードも従来品では十分な性能が出なくなってきた。当社製品は特殊な熱硬化性ウレタンを使用し、工作機械の高性能化によるクーラントの変化に対応しており、市場で高い評価を得ている。今後国内外の工作機メーカーに売り込みをかけていく考えだ。

 この「バンドーワイパーエッジEX」もそうだが、ニッチではあるが、国内・海外を合わせれば、それなりの市場規模になる製品はある。例えば「河川堰用ゴム袋体(ゴム堰)」や「もみすりロール」などもそうだ。いずれも擦り合わせ技術が必要な製品であり、これは当社が得意としている分野と言える。

 〈川下へ〉
 当社が従来やってこなかった事業領域の製品も、ここにきていくつか芽が出てきた。その1つに4月から発売を予定している輸送貨物の「固縛ベルト用張力計」がある。トラックに荷を積む際はラッシングベルトでしっかり止めなければならないが、それが充分な張力をかけて締められているか判断が難しい。当社が開発した張力計はベルトの張りを数値で捉え、SDカードで記録することができる。物流業界では輸送品質の向上がテーマとなっているので、物流業界での拡販を図っていきたい。そのほかにも伸縮性ひずみセンサ「C―STRETCH」や「光学用透明粘着剤シート(OCA)」などもしっかりと育てていきたいと考えている。

 〈バンドー・I・C・S〉
 4月から東西の2販社を統合して新たにバンドー・I・C・S(荒木孝社長)を発足する。統合に伴い、社名を変更したが、新しい社名にIndustrial Components&Servicesとあるように、製品を売るだけでなく、その後の点検や各種の有償サービスを充実して、顧客満足度を上げていきたいと考えている。従来から目指していたサービタイゼーションを本格化させたい考えだ。

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