住友ゴム工業、京大で実大振動台実験を公開
熊本地震の余震に耐えた制震ユニット「ミライエ」を実証
工業用品 2017-02-07
2012年3月の発売以来、昨年末までで1万8,000棟への設置実績を持つ、住友ゴム工業の住宅用制震ユニット「MIRAIE」(ミライエ)。その実大振動台実験が1月27日、京都大学の宇治キャンパス「京都大学防災研究所」で行われ、報道陣に公開された。
ミライエは昨年4月14日、最大震度7を記録した熊本地震でその効果を示し、高い評価を得た。「九州全体でミライエはすでに860棟の供給実績を持ち、132棟が熊本県内での供給だったが、目立った損傷がなかったことが確認されている。最大震度7を記録した2日後の16日が本震で、それ以降も余震が頻発したが、ミライエは本震に加え繰り返しの余震に強さを発揮した」(松本達治制振ビジネスチームリーダー)。
今回の実大振動台実験は、京都大学防災研究所の強震応答・耐震構造実験室において強震応答実験装置(3次元6自由軸振動台システム)を使用し、熊本地震波を入力し加振することで、ミライエの効果についてデータを取り、設置検証することにしたもの。
実験では、1階にミライエ2基を設置した在来軸組工法2階建(1階平面:5.46m×3.64m、階高1階2.894m、2階平面:同、階高2.730m)の試験体に熊本地震の前震(震度7)と本震(同)を2回加振し、事前にミライエ無しで行った実験データと比較。その結果、加振2回目の比較において1階上部の変形量の最大値でミライエ設置有りの状態の場合、無しに比べ変形量を95%低減させたことを確認した。
ミライエは、住友ゴム工業がタイヤメーカーとして長きにわたって蓄積してきたゴム配合技術をフルに活用し、「高減衰ゴムでも硬度のあるものを開発、より効率よく振動エネルギーを熱エネルギーに変換することで地震の揺れを吸収する」(同)。延べ床面積140㎡以下の平屋及び2階建て住宅に対しては1階に4基設置することで効果があり、費用も30万円程度と低コストを実現している。
2006年以降これまで同社と共同研究を進めてきた京都大学生存圏研究所の五十田博教授は「ミライエを開発するにあたりこだわったのは、従来の工法をいかに変更せずに設置し有効性を出すことだった。基礎とアンカーボルトの緊結と高減衰ゴムが実現した」と語った。
同社では、2017年末までに前年比20%増の7,500棟の設置を計画しており、さらに高減衰ゴムを含めた性能の向上や住宅の多様に沿った製品開発を推進していく方針だ。
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