プリウスシリーズへの受注は初
ブリヂストンのシートパッドと防振ゴムが新型プリウスに採用
工業用品 2016-01-01
ブリヂストンのシートパッド、防振ゴムが、トヨタ自動車の新型プリウスに採用されている。
同社が受注したのは、後部座席用のシートパッド(座面部)とエンジンマウント用防振ゴムのハイブリッドユニット側である左マウント。いずれもプリウスシリーズへの受注としては初。
シートパッドは、姿勢の維持、ソフト性、ホールド性、振動吸収性といった快適性能を確保しつつ、薄肉化と軽量化を図った。一般的にシートパッドを薄くすると、座り心地や乗り心地は大きく悪化する。「ただ薄肉化するだけならば、薄肉でも快適性を維持できる材料があるが、そうした材料は重い。それでは軽量化に繋がらないため、新型プリウスの要求に合致しない。薄肉化しつつ軽量化することが難しかった」(ブリヂストン)という。
同社ではシートパッドの材料であるウレタンフォームのセル構造とウレタン樹脂の分子構造に着目。セル構造に起因する通気性の最適化やウレタン樹脂の分子構造に起因するばね剛性と減衰特性を最適化することで、重量を上げることなく剛性・振動吸収性を向上させながら、快適性も向上させた。
新型プリウスに採用されたシートパッドでは、厚みを従来使用されている110―120ミリから70―80ミリへと約3割薄肉化することに成功。重い材料を使用することなく薄肉化を達成したことで、軽量化にも繋げた。
一方のエンジンマウント用防振ゴムは、マウントの体格を小さくしつつ、水平横方向の剛性を高め、さらに軽量化を図った。これにより、新型プリウスの車両目標である「かっこいい」、「走って楽しい」、「燃費がいい」に対応した。「新型プリウスの走りに貢献するため、限られたスペースの中で、どのようにして水平横方向の剛性を高めるか。そこに苦労した」(同)という。
水平横方向の剛性を高めるにあたっては、新構造を開発、部品中央に柱状のゴムを水平横方向に設置した。これにより、前後上下方向のしなやかさを保ちながら、水平横方向の剛性を高めた。新構造と水平横方向に設置した高耐久のゴムにより、水平横方向の剛性を従来に比べ2―3倍高くした。
また軽量化については、ハイブリッドユニット側のブラケットにアルミを採用すること等で実現した。
■シートパッド
シートの基本性能の多くを決定する重要な部品。一般的に正しい姿勢を長時間保持させる姿勢の維持、体圧を分散させて柔らかく体を支えるソフト性、体の揺れ、ぐらつきを抑えるホールド性、フロアからの振動を吸収する振動吸収性が求められる。主な材料は、ポリウレタン樹脂の骨格と膜からなるセルの集合体であるポリウレタンフォーム。ポリウレタンフォームは、モールドの中で発泡成形される。
■エンジンマウント
動力源と車体を接続する唯一の部品で、複数個所に使用される。エンジンを支持するだけでなく、エンジンから発生する振動を吸収し、車体および車内への振動を軽減させる。車両の乗り心地に影響する部品。
エンジンからの振動に加え、路面の凹凸や加減速の振動を吸収するために前後上下方向のしなやかさが必要とされる一方、コーナリング時の操縦安定性を高めるには水平横方向の剛性を高める必要がある。
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