【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、円高で利食い売り優勢
連載 2025-12-08
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=320円台中盤まで急反落する展開になった。11月は為替市場で急激な円安が進行したこと、東南アジアの豪雨被害を手掛かりに急伸地合を形成し、前月比で31.90円高と2024年8月以来最大の上昇幅を記録。12月1日高値は344.40円に達し、4月3日以来となる約8カ月ぶりの高値を更新していた。しかし、12月は為替相場が大きく円高に振れたことで利食い売りが膨らみ、11月中旬の値位置まで反落している。

上海ゴム先物相場は、1トン=1万5,000元台前半でほぼ横ばいの展開が続いた。東南アジアの天候不順を手掛かりに買い進むような動きがみられなかった一方、大きく値を崩すような動きもみられず、膠着感の強さが目立つ展開が続いている。
東南アジア全域で豪雨と熱帯低気圧による洪水や土砂崩れの被害が報告されている。タイのゴム当局者は11月27日、最大で9万トンの生産喪失が発生する可能性を報告している。農地の冠水被害に加えて、道路や鉄道など輸送網の破壊、さらに農家の被災などを受けて、ゴムに限らず農産物供給全体の不確実性が高まっている。しかし、上海ゴム市場では深刻な需給ひっ迫化を促すことはないとの楽観的な見方が優勢であり、ほとんど天候リスクのプレミアムを加算していくような動きはみられなかった。すでに洪水被害はピークを脱しており、ここから天候リスクを織り込む必要性は低下している。
一方、産地は生産期から減産期への移行が進み始めている。年明け後はタイなど主産地で落葉期(ウインタリング)も始まり、需要家の在庫手当ても強化されやすい時期になっている。しかし、季節要因で今後の需給が引き締まるリスクを織り込む値上がりはみられなかった。
中国の11月製造業PMIは前月の49.0から49.2まで小幅改善した。しかし、活動の拡大・縮小の分岐点である50は8カ月連続で下回っている。また、11月米ISM製造業指数は前月の48.7から48.2まで低下している。米中両国で製造業の活動が抑制されていることは、素材市況全体に対してネガティブ。
需給要因で目立った値動きがみられない中、OSEゴム相場は為替要因に基づく売買が中心になった。為替市場では、10~11月に高市政権の積極財政に対する警戒感が急激な円安を促し、11月20日には1ドル=157.89円と約10カ月ぶりの円安・ドル高になっていた。しかし、足元では154円台後半まで3円幅の円高・ドル安になったことが、円建てゴム相場を下押ししている。円安で上昇した相場が、円高で反落する展開になった。
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