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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、310円台前半で膠着化

連載 2025-11-10

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=310円台前半をコアに横ばいの展開が続いた。週を通じて上下両方向に明確な方向性を打ち出せず、膠着感の強さが目立った。米中関係の改善期待を背景とした買いは一服した一方、改めて戻りを売るような動きは鈍く、決定打を欠いた。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万4,000元台後半まで下落した。10月30日の米中首脳会談では、両国関係の改善が促され、世界経済が急減速するリスクが後退したことはポジティブ。中国はレアアースの輸出規制を1年先送りする一方、米国は対中関税を10%引き下げる方針を示すなど、経済リスクの軽減が進んでいる。

 一方、これで中国のゴム需要見通しを引き上げることに対しては、慎重なムードも目立った。米中関係の悪化でゴム需要環境が大きなダメージを受ける展開は回避されたが、これでゴム需要が大きく押し上げられるとみる向きは少ない。実際に、非鉄金属や鉄鉱石相場なども、米中首脳会談後は材料出尽くし感に上値を圧迫されており、ゴム相場も上値を圧迫されている。米中首脳会談と前後して1万5,000元台中盤まで値上がりしていたが、11月入りした後は1万5,000元台を割り込む展開になっている。

 もっとも、米中首脳会談を消化した後の次の明確な相場テーマを設定できているわけではない。このため、上海ゴム相場も米中関係改善期待を織り込む前の価格水準に戻しただけとも言える。このまま需要不安の織り込みを本格化する形で一段安を打診するのか、米中関係の改善期待や中国政府の景気刺激策期待で反発を打診するのかが焦点になる。

 供給サイドでは、台風25号がフィリピンを通過して発達した状態でベトナムに向かったが、ゴムの供給リスクを相場に加算するような動きは鈍かった。7月はタイなどで豪雨による洪水被害の発生が報告されたことがゴム相場を押し上げたが、8月以降は天候リスクがほとんど材料視されない地合が続いている。逆に季節的な増産圧力に対する警戒感が、上値を圧迫する展開になった。

 為替相場が円安気味に推移したことは、円建てゴム相場にポジティブ。日本銀行の早期利上げ観測の後退や、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げ観測の後退が、円安とドル高を促している。1ドル=154.48円と、2月13日以来の円安環境になった。片山さつき財務相らが急激な円安をけん制する発言を活発化させているが、155円の節目を意識する展開になった。

 原油相場は1バレル=60ドル台前半で膠着化しており、ゴム相場を大きく動かす材料としては機能しなかった。

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