【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、上海ゴム急落も方向性欠く
連載 2025-06-02
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=320円を挟んで売買が交錯した。週前半は株高・円安環境を手掛かりに一時330.20円まで上昇し、4月4日以来の高値を更新した。しかし、週後半は上海ゴム相場が年初来安値を更新したことで、戻り売り優勢の展開になり、310円台中盤まで下落している。結果的に最近の310~330円の取引レンジを踏襲した。

上海ゴム先物相場は、1トン=1万3,000元台後半まで値下がりしている。5月中旬には1万5,000元台まで切り返していたが、大きく値を崩している。
5月末にかけての上海ゴム市場では、中国自動車市場の減速懸念を織り込む動きが優勢になった。中国の電気自動車(EV)大手BYDは5月26日、合計22車種のEVとプラグインハイブリッド車(PHEV)を6月末まで期間限定で値下げすると発表。これを受け、中国自動車市場で販売が鈍化し、さらに中国の消費者に自動運転ソフトウェアに対する不安が広がりをみせる中、本格的な価格競争が始まったとの警戒感が広がった。中国自動車メーカーの株価が急落し、それと歩調を合わせる形で上海ゴム相場は今年最安値を更新。価格競争が激化すれば、自動車メーカーからサプライチェーン全体に対する値下げ圧力が強まり、タイヤ市場にも影響が生じるとの懸念が織り込まれた。
一方、通商環境は目まぐるしく変化している。トランプ米大統領は5月23日に、欧州連合(EU)が通商協議で譲歩しなければ、6月1日付で50%の関税を課すと警告した。しかし、その後は関税発動を7月9日まで延期すると表明している。
また、5月28日には米国際貿易裁判所が、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置はすべて無効として、トランプ政権に対して10日以内に新たな行政命令を出すように命じた。通商法に基づく鉄鋼・アルミニウム、自動車に賦課された関税には影響が及ばないものの、トランプ関税が司法の壁に直面したことで、今後は関税策に対して一定のブレーキが掛るとの期待感が浮上している。
実際には、トランプ政権が控訴したことで最終的に違法が確定するまでには相当の時間がかかること、またIEEPA以外の法律を根拠法とすることで関税は維持される可能性が高いが、株高や円安圧力が発生していることは、ゴム相場に対してポジティブ。引き続き通商環境がどのような動きをみせるのか、それに株式や円相場がどのような反応をみせるのかが注目されている。
5月26日に5月限が受渡日を迎えたが、受渡価格は323.00円となった。3月限の297.10円を大きく上回っている。
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