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日本風洞製作所と共同で、1月26日には静岡県沼津市で開所式も

ニシヤマ、「日本風洞試験 富士エアロパフォーマンスセンター」を設立

商社 2023-01-27

富士エアロパフォーマンスセンター開所式での記念撮影


 1月26日、ニシヤマが日本風洞製作所と共同で設立した「日本風洞試験 富士エアロパフォーマンスセンター」(静岡県沼津市)の開所式が行われた。同センターは、日本風洞製作所が手掛けるコンパクト風洞試験システム「Aero Optim」シリーズの製品を配備。法人や個人の枠を超え、様々なユーザーに有償で利用枠を開放、レンタルすることができる施設となっている。

「Aero Optim」は、スケーラブルなコンパクト風洞。送風・拡散・均一化・整流の機能が、全長約1.4メートルのキューブ状ユニットに集約されている。

 このユニットを上下左右に連結することで、自転車用や自動車用、ドローン用など、それぞれに必要な送風面積を構成することができる。広い送風面積を、コンパクトかつ量産化による低コストで実現することを可能にした。また、一般的なファンの気流は渦を巻くことで乱れが多く、定量的な試験には不向きとされている。一方、「Aero Optim」が生み出す気流は、ある程度整えられた直進性のあるもので、簡易な空力実験に利用することができる。

風洞について説明をするローン・ジョシュア日本風洞製作所代表取締役


 ローン・ジョシュア日本風洞製作所代表取締役は開所式で、「従来の風洞試験機は小さいものでも全長30メートル以上で、建設には何億という資金を要する。そのため、現状は一部の大企業や研究機関などでしか保有できない高嶺の花のような存在。この風洞を、誰もが手軽に使えるものにしたいという技術者が集まり、誕生したのが全長わずか1.4メートルの『Aero Optim』とこのセンターだ。当初は自転車用コンパクト風洞として2017年にデビューしたが、自動車やドローン、航空、建設業界など幅広い分野から大きな反響を受け今の形状に進化した。本センターでは、風洞を有償で個人、法人を問わず気軽に利用できる。それだけでなく、当社製品のショールームにもなり、製品を世界に普及させていくための出発点ともなる。まさに当社設立当初からのスローガン『風洞の民主化』を体現する施設だ。今後どんどん進化する富士エアロパフォーマンスセンターに期待してほしい。多くの風洞を必要とする人々に、全力で届けていく」と語った。

祝辞を述べる西山正晃ニシヤマ社長


 また、西山正晃ニシヤマ代表取締役社長は祝辞にて「日本風洞製作所の風洞は着実に市場の評価を高めており、空気力学の実験ニーズを持つユーザーにあまねく可能性を提供できる。縁あってこの開所式に立ち会うことができたことを誇りに思う。このセンターは、日本だけではなく、世界へ大きく飛躍する礎になればと思う。ニシヤマにとっても新たな船出と言える。すでに問い合わせも多数いただいており、動画による宣伝活動も推進したい。そのための準備も進めている。当社としては、引き続き日本風洞製作所と一枚岩となって尽力していきたい」と述べた。

愛三工業レーシングチーム所属の草場啓吾選手によるデモンストレーション


ドローン用システムの区画に配置されているピッチ回転架台 試作品



 開所式と記念撮影終了後、出席者らによるレセプションと並行してセンターの見学会が行われた。見学会で公開されたのは、①自動車用システム②自転車用システム③ドローン用システムの3区画。それぞれの場所には、異なるユニット数の「Aero Optim」が設置されている。

コンパクト風洞「Aero Optim」(奥)とコンパクト風洞天秤「SLIM BALANCE」


 また①自動車用システムには、コンパクト風洞天秤「SLIM BALANCE」も配置。これは、ニシヤマと大和製衡との共同開発品で、自動車の空力計測が可能となっている。

あいさつする頼重秀一沼津市長


 レセプションの最後には、頼重秀一沼津市長があいさつ。「静岡県東部で東京五輪・パラリンピックの自転車競技が開催されたこともあり、現在県全体で静岡県が“自転車の聖地”となることを目指している。同センターは、同競技のトップアスリートの皆様がベストパフォーマンスを繰り広げるためのきっかけづくり、その拠点になるだろう。またドローンなどこれから更なる注目を集める分野にも関わっていくといった点からも同センターに期待している。改めて市民を代表し心から感謝したい。沼津市は2023年7月で市制100周年を迎えるが、次の100年に向けて協力に踏み出すという意味でも、ともに共創していけたら」と施設への期待を寄せた。

 同センターは今後、2月中旬にホームページの公開と予約受付の開始、3月中旬に正式オープンと一般利用開始を予定している。

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